【一撃男】オカルト少女と音速忍者。 (ページ13)

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１１聞き分けページ13

「駄目、ソニック。…私のボディーガード、してくれるんでしょ。離れないで」

ぱしり、彼の手を掴んでたしなめる。
しかしこれだけでこの戦闘狂は止まるわけがない。この隙に呪いの詠唱を、と思ったのも束の間。

「ちっ…覚えておけ、サイボーグ」

案外あっさりと、ソニックは引き下がった。
ジェノスくんも少し驚いたような表情をみせたものの、こちらへ向けていた片手を降ろす。

なんだ、やればできるじゃない。えらいえらい。

なんだか拍子抜けしながらも、手を伸ばして私より少し高いソニックの頭を撫でてみた。

「……偉いわね」

「……な、」

とたんにかああ、と音がしそうな勢いでソニックが耳まで赤くなった。
…えっ。

何その反応、こっちまで恥ずかしくなるじゃない…！
なんだか自分がものすごく恥ずかしいことをしたような気分になり、気まずい空気を味わう。

「…あの、Aさんは音速のソニック(笑)と仲良くなられたんですか」

「…え、あ、そうね…仲良くなったというか、慣れたというか……そうだ。今朝サイタマの叫び声が聞こえたけれど、何かあったの…？」

そういえばジェノスくんが居ることをすっかり忘れてた。
いまだに顔を赤らめているソニックから慌てて目を逸らし、話題を変えるためにジェノスくんに朝のことを問いかけた。

「ああ……先生は、Ｃ級ヒーローは一週間活動しないと資格を剥奪されるのを失念されていたらしく、今朝は慌てて出ていかれました」

「…成る程、ね。」

あのルールには昔私も苦しめられた。幸運の呪いに何度もお世話になったっけ。

そうなるとジェノスくんも暇なのかしら、でも修行中らしいし、こんなときは鍛練とかするのかも…

「…つまり、街に出ればサイタマに会えるのだな！」

と、考え事をしていた私の後ろで、ソニックが唐突に大声をあげた。
ああ、毎度お馴染みの嫌な予感が…

「A！明日からは毎日俺と出かけろ！」

「はぁ！？」

「ボディーガードの仕事もする上、サイタマを見つけ出して俺は奴と戦う。完璧だろう！？」

「用心棒に連れ回される依頼主なんて聞いたこと無いわ……」

やっぱりソニックは戦闘狂で、その上馬鹿だった。ジェノスくんが不思議そうにこちらを見ているのがいたたまれなくなって、足早にそこを離れた。