Please tell me**23 ページ25
「ッ……」
ふと思い出したAの声と笑顔。
あ、やばい…
目の奥が熱い……
このままじゃ俺…子供の前で泣いてしまう……
「業?」
と渚が心配そうに俺の顔を覗き込む。
俺は隠すように熱いコーヒーを飲み干す。
「あつっ…!」
「そりゃ熱いだろ、お前バカになったか?」
「バカは余計だし。着替えてくるわ」
と言ってカップを流しに入れて、自室に入る。
静かに戸を閉めてズルズルと座り込む。
『あ、オーイ!あっかばねくーん!』
俺がどこに居ようとも俺を見付けると無邪気に笑って俺のところに来ていたAは…
もう居ないんだ。
分かってる。
分かってはいる。
でもまだ実感がない。
12年経った今でも、いつかAが戻ってくるんじゃないかって心に淡い期待を抱いていた。
「A……ッ」
ふらふらと立ち上がって毎日掃除をするだけで他に触れる事のないAの本棚の前に立つ。
一冊ずつ指を這わせて感触を確かめていく。
『ねぇ!カルくん!ここ解る?』
初めて同棲した時は俺が一人暮らししていたマンションに大学生の時からずっと一緒に暮らしていた。
プロポーズが成功してから一緒に一軒家の物件探して、ローン付きだけど今の家を買った。
学生だったから正式に結婚出来たのは大学を卒業してから。
『カルくん……大丈夫…?』
『うるさいな!放っといてよ!!』
心配してくれたAに当たってAを傷付けたこともあった。
なのに次の日になればケロッとした顔で、キッチンに立って、
『おはよっ!カルくん!』
そう、笑ってくれた。
あの太陽のように。もしかするとそれ以上に輝くAの笑顔は見れない。
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木戸藍楽(プロフ) - 結衣さん» そうでしたか!大丈夫です!!わざわざありがとうございました! (2015年12月19日 23時) (レス) id: 3693b8335e (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - 木戸藍楽さん» こちらの手違いでした…汗 すみません!! (2015年12月19日 21時) (レス) id: 5d8cb54828 (このIDを非表示/違反報告)
木戸藍楽(プロフ) - 結衣さん» ありがとうございます!!A……ですか?もしかすると目次ページの上にあるお名前にAとされてませんか?違ったならどこからAになってるのかお教えください… (2015年12月19日 13時) (レス) id: 3693b8335e (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - めっちゃいい話ですネ!!あと、名前がずっとAになってるんですけど、どうしてでしょうか… (2015年12月19日 7時) (レス) id: 5d8cb54828 (このIDを非表示/違反報告)
木戸藍楽(プロフ) - 蒼浬さん» 44話は私も辛かったです(笑) 業くんの脆い面を上手く表現出来ているのか不安です……ありがとうございます!頑張ります!!ただ業くんが可哀想に思えてきてなかなか更新する勇気がないんです…(笑) (2015年12月15日 23時) (レス) id: 3693b8335e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木戸藍楽 | 作成日時:2015年11月27日 23時