始まりの別れ ページ1
『…お館様申し訳ございません』
「政府非公認の集団でそれなりに自由度は高いがやっぱり君には狭いようだね、A」
『最近隊員達の殉職があまりにも多すぎる、特に北海道…あそこは土地が広いくせに隊員が全く足りていない』
「Aの地元か…あそこに行ってもらった子達の半分以上は手紙が帰ってこない
柱にも何度か赴いてもらったが中々間に合わなかった。Aが除隊して個人的にそちらで動いてもらったらこちらとしてもありがたよ」
冬が寒さを極めだししんしんと雪が降り続く12月
お館様に鎹鴉を通して事前に伝えた除隊が今日本格的に決まり最後の挨拶に赴いた。
同期や柱の方々には随分と引き止めにあったがこれは私の決意、新たな始まりとしてケジメ
『お館様そろそろ体に障りますので中の方へ』
「A、君の故郷北海道はここよりまだ寒く雪が降り積もるらしいね…あと海産物が美味しいとか、アイヌという民族がいて、、、あぁ想像しただけでも素敵な場所ということがわかるよ」
『必ず私たちの代で鬼を滅してみせます!お館様がまだ元気なうちに鬼に恐る心配のない日々にしてみせるのでその時は!
その時は…私の地元に招待するから、ウッ、グスッ』
北海道と比べたら薄っぺらい積もり具合
そんな雪の上をサクサク歩くお館様の姿が霞んで
体の弱いお館様がさらに儚く見える
「うん、そうだね…その時は美味しいおすすめの料理を一緒に食べようか」
『あ''ぃ、』
なんて優しい方で
「手紙ちゃんと書いてね、鎹鴉はAについて行くだろうから」
『う''ん』
なんて罪深い人だろうか
離れていく足が重くなる
離れたくない
鬼殺隊として彼の為に命を掛けたい
『お館様、』
「行くんだね」
『はい、、
ご武運を』
これしか言えない私をどうか許して欲しい
ありがとうも素直に言えない私を信じて欲しい
言葉が返ってくる代わりにお館様の方を見ると実父のように優しい顔をして手を挙げてくれていた
止まらない涙を止めようともせず飛び上がり無礼を承知にそのまま塀を越え後ろを振り返ることもしない
この先待つのは1人で戦う孤独の鬼滅
鬼に両親を食われ独り身だった私を拾い上げ、実の娘のように育ててくれたお館様に
修行をつけてくれた柱や先代の隊員達に恩返しの為
北海道は私が守る
49人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
プスメラウィッチ(プロフ) - 初めまして、更新楽しみに待ってます。 (1月29日 9時) (レス) @page11 id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:忘れん坊 | 作成日時:2022年1月31日 1時