ズボラだから。 ページ10
タンっと窓から飛び降りた先で見たものは、地獄だった。
涙を流し叫びながら友人を斬る者。愛する人に銃を向け、逃げてくれと叫ぶ者。それらから必死に子を守ろうとする者。やめろ目を覚ませと叫ぶ者。
( 紛れもない、地獄だ。)
違和感を感じて空を見上げると、そこには曲線を描きながら遠い地面へと降りていく無数の白い糸。────鳥籠だ。
｢やめてお父さん！！！｣
｢逃げろ、逃げてくれェ！！｣
髪の長い女の子がぎゅっと目を瞑る。その父親らしき人は、必死に逃げろと叫びながら、刀を振り上げ───
『ハイ終了ッ！』
そんな父親の頭の上に向かって、日本刀を振った。プツン、と小さな音がして男がガクリと膝をつき、呆然としたように私の方を見て、それから自由になった体を見て、娘を見て…ガタガタと震え出した。
「こわかったよォ…すまねェ……すまねェ、よかった、殺さなくて、よかった…」
｢お父さん…！！｣
ひしと抱き合う親子。
っていや見ている場合じゃない。ぐるりとあたりを見渡すとそんなのばかりだ。
｢ありがとう、誰か知らねェが助かった…！｣
『イエイエ！あ、あの鳥籠めちゃ切れるんで、走って中心街に向かってください！出来るだけ人にそれを広めてくださると助かります！』
「あ、あァ！」
じゃ、と言うと走り出した親子を背に、刀を大きく振るう。少し人の頭の上空を狙って。
『一本一本とかやってられっかよォォ！！』
地道な作業とか、苦手なんですよね。
ズボラなので。
よいしょーと刀から放たれた斬撃が、宙を飛んでいく。それと同時に、その軌跡にいた人達は、糸が切れたように───いや、ように、ではなく実際に糸が切れて、地面にへたりこんだ。
カラン、と手から武器を落とし、強ばった手を呆然と見つめる人々。
「な、なにが起こった…？」
「解放、されたのか？」
「あなた、正気を取り戻したの？！」
「市民を守るはずの海兵が、市民に銃を向けてしまった…！」
いろんな声が聞こえる。その殆どが呆然としていながらもどうしようもないほどの安堵を滲んだ声だ。
そりゃそうだ、自分の意志に反して体が動き、愛する人を殺す。
想像するだけで、これ以上の無い悪夢だ。
『っしゃこっからこっから！』
そう叫びながら四方八方に斬撃を飛ばしまくる。あ、一応人には当てないように少し上気味に…ね！
だから、それに必死だった私は、大きなモニターに映し出された存在に、気づくのが遅れた。
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サクラ - 久しぶりに見に来たら、話が更新されていて涙出ました。作者さんのお話ずっと待ってます！お体に気をつけてください！ (9月17日 21時) (
レス) @page42 id: bb281b0fcf (このIDを非表示/違反報告)
ルリ - 当時からずっと追ってました。もうこちらの世界にいらっしゃらないかもしれませんが今でも続き待ってます。 (5月7日 2時) (レス) @page41 id: 2f5b0dd3f0 (このIDを非表示/違反報告)
景璃(プロフ) - ワノ国編楽しみにしてます！ (2022年11月17日 2時) (レス) @page42 id: 0eef4a91ab (このIDを非表示/違反報告)
わいと - 思わず何度も一から読み返してしまうこの作品......私、この小説にめっちゃドハマりしました！！！ワノ国編編、とても楽しみに待ってます！！！ (2022年10月22日 21時) (レス) id: b45b455b48 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - ほんっとにめっちゃ面白かったです！！！！！ (2022年7月11日 23時) (レス) @page42 id: fd58af60f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちチーズ
| 作成日時：2018年3月26日 19時
