【ONEPIECE】ストックホルム・シンドローム【トラファルガー・ロー】 (ページ7)

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「殺すなら、どうぞ」

そう言って女は目を閉じた。

……なんなんだ、コイツは。
潔く死を認める＿＿中将の肩書きは伊達じゃないらしい。

だが、その肩は小さく震えている。
所詮まだガキだ。
恐怖がないわけねェだろう。

俺は小さく舌打ちをした。

「…………？」

女が恐る恐る目を開く。
不安げなその瞳に少しだけ心が揺らぐ。

「殺しゃしねェと言っただろう」
「え……」

そう言うと、あどけない表情でぱちぱちと数回瞬きをした。
殺すつもりなら最初から助けたりはしない。
それに、

「無抵抗の女を殺してもつまらねェ」
「なっ……！」

その言葉に、女はさっきまで震えてたのが嘘のように憤慨した。

「バカにしてるんですか！！」
「してねェよ。大声を出すな……ッたく」

心臓を奪われてなお噛み付くか。
これだから威勢の良い女は面倒だ。

とにかく、このままじゃ埒が明かない。
こういう奴は簡単には根を上げないだろう。
……仕方ない。

「いいだろう。目的を話す」

＊

「俺は王下七武海の座を狙っている」

トラファルガーは確かにそう言った。
王下七武海＿＿世界政府公認の海賊。

「な！？」
「初耳っスよ船長！」
「今言っただろうが」

どうやら仲間にも打ち明けていなかったらしい。
この男……何を企んでいる？

「火拳のエースの公開処刑は知ってるな」
「……もちろんです」

当たり前だ。私たち海軍が決めたんだから。
……白ひげのクルーに手を出せば、きっとかつてない戦争が起こる。

「白ひげと海軍の全面戦争……どちらもタダでは済まないだろう。七武海にも必ず欠員が出る」

その可能性は大いにある。
実際、今回事の発端である火拳のエースを手土産に、黒ひげが加盟したばかりだ。
彼が政府に従うとは思えない。

「自ら政府の狗になると言ってるんだ。お前らにとっても悪い話じゃねェだろう」

……確かに、これ程の海賊が政府の傘下に入れば抑止力にもなるだろう。

「俺たちだけでは難しい。協力しろ」

トラファルガーはそう言って手を差し出した。

……協力。
海賊など信用していいんだろうか。
裏切る可能性だって＿＿＿

「俺と来い」

鋭く真っ直ぐな瞳が私を捉える。
その奥には、有無を言わさぬ確かな意志を感じた。

「……分かりました」

気づけば私は彼の手を取っていた。
……少しだけ、彼を信じてみたいと思ってしまったから。

「協力しましょう」

その言葉に、彼は不敵な笑みを浮かべた。