【ONEPIECE】ストックホルム・シンドローム【トラファルガー・ロー】 (ページ11)

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「……だからアイツが七武海に加盟した時は、まさかと思いましたよ。政府の傘下に入られたら、手が出せないじゃないですか」

思わず乾いた笑いがもれる。
ローは、そんな私の話を黙って聞いていた。

“彼”の敵を討つために強くなりたくて、気がついたら中将にまでなっていた。
……いざとなれば、地位など捨てて迷わず首を獲りに行くけれど。

「とにかく、ドフラミンゴのことは私が……」
「待て。ひとつ質問がある」

突然口を開いたロー。
次の瞬間、私は耳を疑った。

「ソイツの名は＿＿＿ドンキホーテ・ロシナンテじゃねェのか」

…………え？

「ろ、ロシーを、知ってるんですか」
「……やっぱりな」

どうしてローがその名前を。

「ロシナンテ＿＿コラソンは俺の恩人だ」
「そんな……じゃあ、あなたも……？」

その表情は帽子の影になりよく見えない。
＿＿＿無言の肯定。

「よく言っていた。“ガキ共が心配だ”って。お前らのことだろう」
「ッ……ロシー、」

鼻の奥がツンとする。
記憶にあるのはバカみたいな笑顔ばかり。
もう二度と、見ることはない。

両腕で顔を覆う。

「チッ……おい泣くな、めんどくせェ」
「な゛いて゛、ませ゛ん゛……ッ！」
「せっかく替えた包帯がぐしゃぐしゃじゃねェか。ッたく」

ローはため息をつくと、私の身体を抱き起こした。
そして子供をあやすように優しく頭を掻き回す。

＿＿＿うわあぁん！！ロシぃ～！！＿＿＿
＿＿＿なんだ転んだのか？しょうがねェな～……＿＿＿

触れる手のひらが暖かく、遠い昔のロシーと重なる。

……今だけは。
少しだけ甘えても、いいだろうか。