【ONEPIECE】ストックホルム・シンドローム【トラファルガー・ロー】 (ページ2)

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「…………な、」

窓の外を見て愕然とした。
そこに広がっていたのは＿＿闇。
時々部屋の光を反射して、悠々と泳ぐ魚が見える。

「ここは水深2000メートルの海底だ。脱出は諦めろ」
「ッ……！」

……逃げるのは無理、か。
でもまだ諦めるわけにはいかない。
そうだ、電伝虫で本部に連絡を……！

「あー、すまん。アンタの電伝虫なら、たぶんシャボンディだ」
「なっ！？」

うそだろ……
予想外の連続に唇を噛む。
連絡手段もなし。

「……仕方ないですね」

こうなってしまったら、最後の手段だ。

「＿＿＿“投影(プロジェクション)”」

その言葉で、空中に突然刀が現れる。

「なッ！？今どっから……！？」

私の能力のひとつ。

“投影(プロジェクション)”＿＿＿空間に刀剣を実体化させる。

私はそれを手に取り、彼らに向けた。

「解放しなさい。今すぐに」
「そう言われて素直に従うと思うか」
「なら、力ずくでそうするまでです」

私は刀一本でここまでやって来たのだ。
剣術なら自信がある。

そう一歩踏み出した、その時。

「ぅ゛ッ……！？」

突然胸に鋭い痛みを感じ、刀を取り落とす。
床に転がったそれは霧散し消えていく。

あまりの痛みに心臓を抑えるが、

＿＿＿そこに心臓はなかった。

「う、そ…………」
「探し物はこれか？」

そう言ったトラファルガーの手にはなんと、規則正しく脈打つ心臓が握られていた。

手配書を思い出す。
そうだ、確か彼は＿＿オペオペの実の能力者。
どうやら初めから心臓を奪われていたらしい。

……完敗だ。

私は無言で両手を上げた。

「おっ、なんだ降参か？」
「……抵抗はしません」
「随分と利口じゃねェか」

相変わらず余裕の笑みを浮かべるトラファルガー。

悔しさに唇を噛む。
急所を抑えられたらもう為す術がない。
……だから簡単に手錠をはずしたのか……なめられたもんだ。

「それで、どうして私は捕まってるんですか。一体何が目的なんです」
「うーん……どっから話すかな」
「つか覚えてねェの？」

……そういえば目覚める前の記憶が曖昧だ。

首を傾げていると、先程シャチと呼ばれていた男が思わぬことを口にした。

「お前、砂浜に打ち上げられてたんだぞ」