◇2416. 物語の主人公なら ページ7
オルト.
強力なエネルギーフィールドが島を覆ってて、海底ケーブルづたいに賢者の島から出ようとしても、強制的に引き戻されちゃうんだ。
オルト〈……ん？〉
ふと、タブレット端末に何かの通知がきたらしく、画面が光ったためそっちに目をやる。
ロック画面に表示された時刻は２１：１８……。
えっ？ ２１：１８？
オルト〈嘘だ！〉
慌てて兄さんのスマホに表示されている時刻を確認する。
……２１：１８。
そんな、なんで。
僕がネットワーク上に自分のAIデータを全てアップロードするのに３０分以上かかったはずだし……兄さんの部屋に来てから、もう３０分以上は経ってるはず。
ディアソムニア寮にある僕の機体がクラッシュした時刻から、時間が進んでいない……？
オルト「(いや、まてよ)」
さっき僕が確認した監視カメラに映ってた時計の画像をスクリーンショットして、拡大して、画面でボヤけた部分に補正をかけて……。
そして僕は気づいてしまった。
オルト〈……島中の時計、ぜんぶ２１時１８分だ〉
もしかしてこの島は今……時間が、止まってる？
オルト「(だから外に出ようとすると元の場所に引き戻されるってこと？)」
つまり……マレウス・ドラコニアさんが使った魔法は生物を昏睡状態へ陥らせるものじゃなく、魔法領域内部の時空を、すべて凍結させる魔法……？
嘘。
こんな事が、可能なの？
こんな魔法が、あるの？
こんな事が、まるでおとぎ話にしか出てこないような魔法が、存在するというの？
オルト〈信じられない！ そんな伝説級の魔法、魔法史の教科書でしか見たことないよ！〉
僕は顔面を両手で抑える。
人間の身体なら、きっと今頃嫌な汗が止まらないだろう。
だって、だってこんなにも、僕の画面にｅｒｒｏｒコードが出ているんだもの。
オルト〈時空を操れる魔法士なんか、現実に存在するの？〉
そんなの……まさに、��生ける災害��じゃないか
ホラー映画、またはサスペンス映画の中盤くらいで真実を知ってしまったモブのような、知ってしまった感。
知ってしまったところで、どうにか出来る策が考えられないから、物語の主人公なら脳筋でも解決できるだろうから、希望がまだ見出せるんだろうな。
オルト「(誰かに縋りたくなる気持ちって、こんな感じなんだ)」
なんだか、一気に自分がちっぽけな存在になった気分。
僕は凄いのに、な。
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冬雪(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます。こういうコメントが自分の励みになり、続けることができています。応援、ただ嬉しいです。更新頻度が落ちていますが頑張ります。 (4月21日 21時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
もも - コメント失礼させていただきます。こんな長編は初めて見たので更新がこんなに長く続けられることに驚いてます！天才じゃんと驚きました！1から読んでみます！応援させてください！この作品が楽しみです！ (4月21日 13時) (レス) @page8 id: 9438123b46 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 72さん» コメントありがとうございます。励みになります。頑張ります (2月13日 21時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
72 - やっと追いつけました！！最初のお話からなにこれすご。えっ天才じゃんと思いながら読んでいます。こんなに長く続編があると私としては凄く楽しみになっています。これからも大変かもしれませんが頑張ってください。 (2月13日 15時) (レス) @page22 id: 3801a7866d (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - ゆきっきさん» コメントありがとうございます。オリキャラに解釈一致はとてもよかったです (12月31日 6時) (レス) @page13 id: ff98c35051 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2023年11月13日 0時
