◇2354. 最後 ページ7
Ｎｏ ｓａｉｄ.
マレウス「玩具に寿命が設けられているとは思いもしなかった。 どれだけマメに世話をしても、ドラコーンは３０日足らずで卵を残して居なくなってしまう。 人間はなぜ、こいつをそんな風に作ったのだろうな」
リリア「ふむ。３０日では短いと？」
マレウス「長い短いというより、ドラコーンは架空の……御伽のための存在だろう？ ならば生命の期限を設けずとも良いのではないかと……そう思ったんだ」
架空ならば、永遠だっていいだろう？
許されるだろう？
フィクションだと訴えるドラマも、漫画も、アニメだって誰かが語り継げば永遠に残る。
身に覚えのない歴史だって、紙に綴られ、本になり、歴史の宝として永遠に残る。
大切にすれば残るんじゃないのか。
現に、ゲーム機本体は大切にしているから、ずっと残って、起動している。
大事に、大事に、しているのに。
どうして永遠に残ってほしいものは、永遠に残ってくれないのか。
リリア「なるほど。確かに。
お主の言う通り誰かをなぐさめる御伽噺の中でくらい、世話さえすればずっと生き続けるくらいの絵空事でよいのかもしれない」
目を伏せる。
リリア「だが終わりがあるからこそ、共に過ごす時間を大切にしようと思えるのではないか？ ……それに共に過ごす時間が長くなればなるほど、別れは辛くなるものじゃ」
リリア・ヴァンルージュは顔を上げ、眉を下げて笑う。
わかっておくれ、と。
マレウス・ドラコニアへ思いを告げるかのように。
その瞳はどこか、諦めを滲ませている。
その瞳はどこか、悲しみを帯びている。
マレウス「……リリア？」
リリア「さて！ 寮長に談話室の占用許可も貰えたことだし、急いで招待状を学園中に配らねば。
オンボロ寮のAとイヴ、それからグリム……じゃったかな、あの魔物の名は。 あやつらには何かと世話になってるからの。 わしが直々に届けに行かねば。
ではな、マレウス！」
リリア・ヴァンルージュは踵を返す。
リリア「土曜の夜、わしの最後の祝いの席じゃ。 きっと華やかな集まりになる。
絶対にすっぽかすでないぞ！」
マレウス・ドラコニアに念を押すと、リリア・ヴァンルージュは駆けて談話室を後にする。
マレウス「最後の……祝いの席……」
１人、取り残されたマレウス・ドラコニア。
ぽつり、と呟かれた言葉は誰の耳にも入らない。
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冬雪(プロフ) - すたさん» コメントありがとうございます。最初から見てくれるの嬉しいです。頑張ります (6月11日 23時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
すた(プロフ) - うおおお！！おもろすぎて最初から見てきました！応援してます！！ (6月11日 22時) (レス) @page50 id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 潤華さん» コメントありがとうございます。とても恐れ多いですが、すごく嬉しいです。頑張ります (5月20日 21時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
潤華 - 冬雪さんが全占ツク作者の中で一番好きです(変に作者がずけずけ出てきたりしないし)！面白くて何回も見返してしまいます！これからも応援しています、頑張ってください✧ (5月20日 19時) (レス) id: 9876854e3f (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。楽しみです。頑張ります (5月13日 6時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2023年3月20日 0時
