◇2373. 親と子 ページ26
Ｎｏ ｓａｉｄ.
シルバー「(……吹雪が止まった？)」
シルバーが空を見上げれば、澄んだ夜空が広がっていた。
シルバー「(マレウス様がお怒りになると雷鳴が轟くことは谷でも有名だが……まさかこの吹雪も、マレウス様の感情の乱れによる影響？)」
マレウス・ドラコニアを見やれば、自身の寮服についた雪を払っていた。
シルバー「(マレウス様……表情には出ていらっしゃらないが、やはり親父殿との別れがお辛いのだろうか。 ……当然だ。マレウス様は俺よりもずっと長い時間を親父殿と過ごしてきた。
俺など、たったの１７年しか……)」
そうだ。
たった１７年だ。
指でも簡単に数えられる年数だ。
マレウス・ドラコニアとリリア・ヴァンルージュが共に過ごした時間と比べても遠く及ばない。
シルバー「……………………っ」
マレウス「ふむ……ここで悩んでいてもキリがないな。 送別会に向かおう」
シルバー「…………先に……戻っていて、くださいますか」
マレウス「シルバー？」
踵を返したマレウス・ドラコニアに、顔を下に向けたシルバーはそう言った。
不思議に思ったマレウス・ドラコニアは再び踵を返し、シルバーの顔を覗き込む。
シルバー「俺も、すぐに、追いかけます……」
目尻に涙を浮かべたシルバーは鼻を啜る。
マレウス「どうした？ ……泣いているのか？」
シルバー「も、申し訳、ありません。
……情けない姿をお見せして」
マレウス「別に情けなくなどない。 子供は泣くものだ」
シルバー「俺はもう１７です。来年成人します。
マレウス様や親父殿から見れば、子供同然でしょうが……」
マレウス・ドラコニアはシルバーの涙を拭おうと手を伸ばすが、それを遮るようにシルバーは自分の腕で無理矢理涙を拭う。
それでも涙はとめどめなく溢れてくる。
シルバー「１７年前……親父殿は茨の谷の奥深くで、赤子だった俺を拾った」
マレウス「……」
シルバー「親父殿は妖精、俺は人間です。
血の繋がりも、育てる義務も……なにもない。 なのに、あの人は我が子同然に育ててくれました。 毎日食事を与え、稽古をつけ、寝込んだ夜は一晩中そばにいてくれた」
妖精と人間は、脆さも成長スピードも……なにもかも違う。
彼らの故郷である【茨の谷】には人間の育て方を知る者は殆ど存在しない。
そして、リリア・ヴァンルージュは独り身だ。
それだというのに、それでも、
.
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冬雪(プロフ) - すたさん» コメントありがとうございます。最初から見てくれるの嬉しいです。頑張ります (6月11日 23時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
すた(プロフ) - うおおお！！おもろすぎて最初から見てきました！応援してます！！ (6月11日 22時) (レス) @page50 id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 潤華さん» コメントありがとうございます。とても恐れ多いですが、すごく嬉しいです。頑張ります (5月20日 21時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
潤華 - 冬雪さんが全占ツク作者の中で一番好きです(変に作者がずけずけ出てきたりしないし)！面白くて何回も見返してしまいます！これからも応援しています、頑張ってください✧ (5月20日 19時) (レス) id: 9876854e3f (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。楽しみです。頑張ります (5月13日 6時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2023年3月20日 0時
