◇2350. わからない ページ3
.
マレウス「元の世界に……？」
『まだ全然仮定の話だけどね』
ツノ太郎に、もしかしたらオンボロ寮の自室にある鏡が別の世界に繋がっているかもしれない、即ち、僕とイヴの、元の世界とも繋がることができるかもしれない、という仮定を伝えた。
僕にとって、魔法があるこの世界ならありえなくもなさそうな話だと思うけれど、ツノ太郎はどうだろうか。
マレウス「ふむ。ありえなくない話だ」
『ツノ太郎もそう思う？』
マレウス「ああ。……そうか。お前達もこの場所を去るのだな」
ツノ太郎はオンボロ寮を見やる。
マレウス「本当に、なにもかもが瞬きの間だ」
『……もしも、この仮説が本当だとして、元の世界に帰れるってなったら…………僕は寂しいよ』
マレウス「A……」
『またこっちの世界に来れるって可能性があるってわけじゃないから。 それを意味するのって��別れ��でしょ？ だから、そう考えると、寂しい』
マレウス「寂しい、か」
僕は膝に顔を埋める。
強がって、イヴやグリム、デュースには言えなかったことだけれど、いざそう考えてみると、１歩も動きたくなくなってしまう。
この世界での��記憶��が消えれば、少しは楽になるだろうか。
マレウス「＿＿もし」
『？』
マレウス「もし……家族や、友、なにもかもを失わずに済む方法があったとしたら……お前はそれを願うか？」
なにそれ。最高だね。
『願わない奴はいないと思う』
でもね、ツノ太郎。
僕にとってソレは非常識なんだよ。
それが現実なら、受け入れないといけないんだよ。
駄々を捏ねていい、誰かに邪魔されたら抗ってもいい。 けれど、必ずソレはいけないことだと言って止めにくる奴がいる。
僕はツノ太郎からすぐに顔を逸らした。
マレウス「ならばあいつは何故……いや、よそう」
すると、ツノ太郎は立ち上がる。
マレウス「少し考えさせてくれ。僕に良い方法が思いつくかもしれない」
『良い方法って……』
マレウス「……ああ、もうあんなに月が高いな。 部屋に戻って休むといい」
『あ、うん……。 おやすみ、ツノ太郎』
マレウス「ああ、おやすみ、A」
ツノ太郎はそう笑みを返した。
穏やかな笑顔だった。
僕はその場を後にして、寮の中へと入った。
玄関の扉を閉めて、扉に背を預ける。
ツノ太郎、本当に大丈夫かな。
なんだか、すごく心配だよ。
『……頼っては、くれないか』
.
◇2351. とある夢、とある男の懺悔→←◇2349. ��僕��の願い
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬雪(プロフ) - すたさん» コメントありがとうございます。最初から見てくれるの嬉しいです。頑張ります (6月11日 23時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
すた(プロフ) - うおおお！！おもろすぎて最初から見てきました！応援してます！！ (6月11日 22時) (レス) @page50 id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 潤華さん» コメントありがとうございます。とても恐れ多いですが、すごく嬉しいです。頑張ります (5月20日 21時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
潤華 - 冬雪さんが全占ツク作者の中で一番好きです(変に作者がずけずけ出てきたりしないし)！面白くて何回も見返してしまいます！これからも応援しています、頑張ってください✧ (5月20日 19時) (レス) id: 9876854e3f (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。楽しみです。頑張ります (5月13日 6時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬雪
| 作成日時：2023年3月20日 0時
