【ツイステ】悪役だけを。◆３４◇ (ページ48)

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◆1636.いい経験になったページ48

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『てかずっと気になってたんだけど、その荷物は全部土産？』

この市場でツノ太郎を見つけた時から気になっていた。

ツノ太郎の手には食い物、日用品、古びた本があり、自分への土産にしては多いなと思っていたのだ。

マレウス「これはお前達とはぐれ、アジームに会った時に店の者達に勧められた物だ。本は自分で買ったが、その他は全て勧められた物でな」

『全部！？』

さすが王族。
懐が良いようで。

マレウス「ゆっくり買い物をしたかったのだが、次々と店の者達が商品を持って僕に集ってきてな。話を聞いてやりたかったんだが……」

いや違う。これ、買わされてる。
いい感じのカモだって思われてるよ、ツノ太郎。

マレウス「一般市民の話をちゃんと聞いてやれない僕は、まだまだ未熟だろうか……」

『いや、要らないと思った物は要らないって言っていいと思うけど……』

マレウス「しかし、街の者に気安く話しかけられるなんて、僕にとっては珍しいことだから、実に愉快な体験だった」

『(そう言われると何も言えん……)』

マレウス「アジームも、どんどん買いまくろう、と言ってくれたしな」

『……』

ツノ太郎とカリムの組み合わせは少し危ないかもしれない。

『(なんでこうも寮長の奴らって危なっかしい奴が多いのだろう)』

マレウス「途中から多くの街の者からの声が重なって何を言っているのかわからなかったがな」

『君は人望に恵まれている。だけど、そいつと関わるかは自分で決めなきゃダメだよ』

マレウス「自分で……」

『君にはいろんな人と関わってほしい。自分の世界を広くしてほしい。茨に囚われず、どこにだっていってほしい。それが、君のことを大切に思う人が思うべきことだと、僕は思う』

マレウス「……」

『今回の買い物は少し失敗してしまったかもしれないけど、それもいい経験にはなったでしょ？』

「……ああ。そうだな」とツノ太郎は微笑んだ。

『まあ、まずは迷子にならないことだけどなー、たははっ』

マレウス「では、お前が道に迷った時、誰かとはぐれた時、もうどこにも行けなくなった時は、僕が手を差し伸ばしてやろう」

『……あは。ツノ太郎になら、すぐに見つかりそうだよ』

会計を済ませ、店を出ると、ふと雑貨店に目が留まる。

近づいて、店の前に出された商品をジッ、と見ていると、いい感じに汚れたランプを見つけた。

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