◆1622.お兄ちゃん ページ34
ジャミル.
ジャミル「片付けたのは、いつも俺だったぞ。父さんや母さんに叱られながら」
ナジュマ「えーそうだったっけ？
でもさ、そうやって文句言いながらもいつも面倒みてくれるから、私もついつい、頼っちゃうんだよね。ありがと」
ジャミル「ふんっ。調子のいいやつ」
グリム達は熱砂の国のオモチャが珍しいのか、夢中なっている。 ケイト先輩は写真を撮って、トレイ先輩はそれに巻き込まれ……Aとイヴはグリムの面倒を見ながら昔ながらのオモチャを見て楽しんでいる。
ジャミル「ナジュマ、学校の方はどうなんだ？」
ナジュマ「もちろん、上手くやってるに決まってんじゃん。文武両道でそつなくこなしてるよ。なんてったって、ジャミルの妹だからね」
ジャミル「だったらいい。これからもしっかりやれよ」
ナジュマ「それより私は、ジャミルがちゃんと学園生活を送れてるのかが心配だよ」
ジャミル「俺が？」
ナジュマ「ジャミルだって、呆れるぐらい外面がいいし、いつも上手く立ち回ってるように見えるけど、変なところで真面目だし、意外に頑固なところがあるからさ。無理してるんじゃないかなあって気になってたの。
あんまり考えすぎないでね、お兄ちゃん」
ナジュマは覚束ない表情を浮かべた。
ジャミル「……もちろん、うまくやっているさ。 心配するな。 俺は、お前の兄だぞ？」
ナジュマ「はいはい。 だったら、安心だね。
……あとさ、ジャミル。 私に隠し事してるよね」
ジャミル「隠し事？」
ナジュマ「Aさんとイヴさんって、女の人、だよね？」
背中に、変な汗が伝った。
女だからわかったことなのか、はたまた誰かに似て勘が鋭いだけなのか。
ナジュマ「……何も言わないってことは、本当なんだね」
ジャミル「ナジュマ、これは……」
ナジュマ「うん。誰にも言わない」
ジャミル「ナジュマ……」
ナジュマ「だって、ジャミル、Aさんと話している時、すごく楽しそうなんだもん」
ジャミル「……はぁ！！！？？」
素っ頓狂なことを言い出すナジュマに声を出してしまうほど驚いてしまった。
ナジュマ「いい人だもんねー、Aさん。面白いし、美人だし。イヴさんも笑顔が素敵だし、包容力があって、ついお母さんって呼びそうになったよ〜」
ジャミル「違っ……！ お前は絶対変な勘違いをしているに決まっている！」
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作者名：冬雪
| 作成日時：2021年9月7日 0時
