◆1618.ドライフルーツ ページ30
イヴ.
ケイト「ラクダバザールって広いね〜」
トレイ「果物、花、日用品みたいに、売っているものごとに店同士が集まっているんだな」
マレウス「この辺りはなにを売っている場所なんだ？」
ジャミル「ここは、ナッツやドライフルーツを売ってるお店が集まっています」
ナジュマ「どちらも熱砂の国の定番おやつで、老若男女問わず人気があるんですよ」
またバザールを歩き始めた私達は色鮮やかなドライフルーツが並べられた露店に立ち寄る。
種類が豊富で、目移りしてしまうほどの艶やかさ。
どれも美味しそうだ。
ジャミル「……」
ケイト「山盛りのナッツやドライフルーツが、量り売りされてるね〜」
トレイ「ヒヨコ豆にピスタチオ、ひまわりの種か……。どれも栄養価が高く健康に良さそうだな」
『ナジュマちゃんのおすすめってある？』
ナジュマ「私の大好物は、デーツです」
イヴ「ナツメヤシのことだよね」
ナジュマ「はい！ ドライフルーツにして食べるのが定番ですよ」
見た目はどこかレーズンに似ているけど、まったくの別の物。 木に実をつけたまま自然乾燥し、太陽の光を浴びて樹上で完熟していくデーツを��天然のドライフルーツ��と言われている。
デーツは黒糖のような濃厚でクセのない甘味があるらしい。
ナジュマ「ジャムとかゼリーも売ってます。あとシロップとかにしてもおいしいの！ あの店先にたくさん積まれている、黒っぽいドライフルーツが、デーツです」
ケイト「どれどれ……」
ジャミル「あの、ここは早く離れた方が……」
「よぉ、ジャミルじゃないか！ 随分、久しぶりだな！」
ジャミル「っ！！」
振り向けば、健康的な肌色の男の人がジャミル先輩に話をかけていた。
「お、お久しぶりです……」
「今日は買い物か？ また大暴れは勘弁してくれよ〜？」
「大暴れ？」と私達はお互いの顔を見合わせて首を傾げた。
ジャミル「う……、まだその話を……。 俺が子どもの頃の話じゃないですか……」
ケイト「ジャミルくん、一体なんの話？」
ジャミル「なんでもありません」
『即答！？ 絶対なんかあるだろ』
「それがよお〜……」
ジャミル「あああ！ やめてください！ 余計なことを言われるぐらいなら自分で説明します！」
どこか歯切れの悪いジャミル先輩は、私達から目を逸らしながら話し始めた。
ジャミル「……、じ、実は……」
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作者名：冬雪
| 作成日時：2021年9月7日 0時
