◆1616.とても硬い ページ28
イヴ.
ケイト「へぇー、さっぱりした味で美味しいね。甘すぎないから、ごくごく飲めるよ」
トレイ「あぁ。カリムが何杯も飲みたくなるのもわかる。……１００個は多すぎだが」
マレウス「リリアから、果実に直接ストローを刺して飲むジュースの話を聞いたが、これのことだったのか。てっきりからかわれているものだとばかり」
見た目の大きさに反して、中に入っている飲み物の量が意外と多いから１個だけでも満足できる。
ジャミル「それとココナッツは、果汁を飲むだけでなく、中の果肉を食べることができますよ」
グリム「よし、丸ごと全部食べてやるんだゾ！」
イヴ「え、丸ごと？」
気になってグリムくんの方を見た時だった。
グリムくんは本当にヤシの実を丸ごと食べようとしていた。皮ごと。
しかし、皮はとても硬いため、歯で噛み砕ける程の安易なものではなかった。
グリム「かっ、硬過ぎる……歯が折れそうなんだゾ！」
『あっはははははっ！！』
ジャミル「そのままかじる奴がいるか！ ナイフで割って、中の果肉を取り出すんだ」
グリムくんを指差して笑うAちゃんに苦笑いを浮かべ、「イヴ！ オレ様の歯、取れてねぇか！？」と私に駆け寄るグリムくんには「取れてないから大丈夫だよ」と安心させる。
まさか丸々食べようとするなんて、思わなかったなあ。
グリムくんの食い意地は本当に凄い。
モンスターだからなのか、少なからず食べ物を与えないとその場で暴れ回るほど食い意地が強い。
ジャミル「ココナッツの実はとても硬いんだ。道具を使わなければとても割ることなんて出来ない」
『でも今はナイフなんてないしなぁ。 ……スイカ割り形式でそこら辺にある棒で叩き割る？』
イヴ「スイカよりは小さいから当たり判定が難しそうだね」
ナジュマ「もれなく皮と一緒に果実も地面に飛び散りそうですね」
ジャミル「そもそも、道の真ん中でそんな奇行許さないからな」
『んー……仕方ない、頭で割るしか、』
トレイ「行き着いた結果が極端すぎるだろ。
お店でナイフを貸してもらおうか」
そもそも、ヤシの実は棒で叩き割れるのだろうか。当たったとしても、予想だにしないところへ飛んで、予想だにしない事故が起きそうだ。
マレウス「……僕に渡してみろ、クローバー」
トレイ「ん？ かまわないが……」
マレウス「要はこれを割ればいいのだろう？」
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作者名：冬雪
| 作成日時：2021年9月7日 0時
