◆1591.ＶＩＰ席 ページ3
イヴ.
イヴ「……大切な花火大会なんですね」
ジャミル「この花火大会は毎年、アジーム家のような名家・富豪の寄付によって、成り立ってるんだ」
『だとしたら、いろいろと豪勢になるだろうね』
ジャミル「ああ。おかげで、観光客相手のビジネスも盛況。街のみんなも、打ち上げ花火を楽しみにしている。名家の金で街が活気付き、庶民の懐も潤うというわけさ。痛快な話さ」
『なるほど。ガッポガッポと稼げるというわけだ。一石二鳥だねっ』と人差し指と親指で輪っかを作るAちゃん。「その手はやめろ。いやらしい」とジャミル先輩にそっ、と解かれたけど。
ケイト「ねぇねぇ。さっきより、だんだん人出が増えてきたんじゃない？」
ケイト先輩の言った通り、少し目を話している隙に人は増えてきており、地面にシートなどを敷き始めて昼間なのに宴会の準備を始めている人達もいた。
お昼からお酒を飲み始めている人もいる……。
ジャミル「��絹の街��の住人にとって、待ちに待った日ですから。早めに来て、席取りをしていますね」
トレイ「持ち寄った食べ物や飲み物で、宴会を始めている。どこもかしこもお祭り騒ぎだ」
マレウス「人々の活気が溢れているのは、良い街だという証拠だ」
学園の伝統行事に進んで参加しないナイトレイブンカレッジの生徒達とは大違いだなぁ。
グリム「のんびりしている場合じゃないんだゾ！ オレ様達の見る場所がなくなっちまう！」
ジャミル「心配いらない。ちゃんと人数分の招待席を確保してあるからな」
『それって何処ですか？』
ジャミル「あの天幕が掛かったスペースが、招待席だ。個室型で暑さを凌げて快適に見ることが出来る」
ジャミル先輩が指差した方向を振り向けば、そこは一際豪華な装飾をされた観客席だった。涼しげな色のテントに、キラキラと光る金のランプ。
えぇ……まさか、本当にあそこが私達の席なの……？
イヴ「ほ、本当にあそこが私達の席なんですか？ ああいう席って偉い方々が座る場所じゃ……」
ジャミル「その偉い方々に招待されたのが君達なんだ。間違ってはいないだろ」
トレイ「明らかに他の一般席とは、格式が違うな。まるで高級ホテルのスイートルームだ」
『何張りも建てられているってことは、他にもお偉いさんが来るってこと？』
ジャミル「あそこには、招待されて外国から来訪した著名人や芸能人も、座る特別席だからな」
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作者名：冬雪
| 作成日時：2021年9月7日 0時
