【ツイステ】悪役だけを。◆３４◇ (ページ20)

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◆1608.親の心子知らずページ20

イヴ.

ナジュマ「シルキーメロン、おいしかった〜。さ〜て、次はなにをおねだりしようかな〜」

ジャミル「やれやれ……まだ食べるのか……」

トレイ「パンを扱う屋台が多いな。焼きたての香ばしい香りが食欲をそそる」

先程までメロンを食べていたから気づかなかったけど、トレイ先輩の言うとおり、パンの良い香りがする。

ナジュマ「この国って、パンが主食なんですよ！」

『へー』

ジャミル「路肩の小さなベーカリーも、パン焼き釜があって、焼きたてのパンが楽しめます。出来たばかりの香ばしいパンは、格別の味ですよ」

「こっちです！」とナジュマちゃんに手を引かれ、案内されたのは煉瓦造りのお店のパン屋さんで。

丸いパン、四角いパン、細長いパン、ふっくらしているものに、硬そうなもの……それに１人では食べしれなさそうなほど大きなパンが棚に陳列されており、壁際にある棚の中には種類豊富なジャムがある。

見ているだけでも楽しい。

ケイト「形も大きさもトッピングも、いろんなパンがある！」

マレウス「あそこには、子どもの背たけほどの大きなバゲットがあるぞ」

ケイト「うわ！ホントにデカい！」

ナジュマ「タワーバゲットっていうんです。あれも花火大会名物なんですよ」

『すごい斬新な飾り方してんね』

大きくて長いパンって、籠に入れられてるイメージがあるけど、ここのタワーバゲットはジェンガのように高く積まれている。

遊び心があるなあ。

ジャミル「熱砂の国では、大きいバゲットを食べると、一生食べ物に困らないと言われています。花火大会の伝承に出てくる青年が、お腹を空かせた子ども達に、パンを分け与えた……という伝説が、由来となっているんです。
そこから祭りの日には、縁起物として多くの屋台で売られるようになりました」

グリム「こんな大きいパン、見たことない！食べ応えありそうなんだゾ！いただきまーす！」

ナジュマ「あっ！１人で食べ始めちゃった……」

『まだ金も払ってないのに食い始めるな！』

グリム「ウマい！」

『仕方ないなー』と溜息を吐きながらも、代金をお店の人に払いに行くAちゃん。

止められなかった私達も悪いが、まさか欲望の赴くまま、その場ですぐに食べ始めるとは思わないじゃないですか。

イヴ「もぉ……勝手に食べちゃダメでしょ、グリムくん」

ケイト「親の心子知らず？」

『僕らは親じゃねーよ』

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