◇440.提案 ページ10
イヴ.
「入学したばかりの頃、寮に馴染めなくて悩んでた俺の話を親身になって聞いてくれた」
「授業のレベルについていけなくて学校を辞めようと思ってた時は朝まで特訓に付き合ってくれた」
「ちょっと大雑把で頼りないところもあるけど、俺達はみんな寮長が大好きだったんだ。スカラビア寮生でいられるのが楽しかった。それなのに……」
寮生の人達は顔を下に向けた。
ジャミル「そう、カリムは本当にいい寮長だ。誰とでも分け隔てなく接し、偉ぶることもない。
ああ、なんでこんな事になってしまったんだ……」
イヴ「……?」
ジャミル先輩のさっきの言葉、なぜだか違和感を感じた。
……なんか、本当にそう思っていないような
グリム「あのよー。カリムのヤツ、医者にでも見てもらったほうがいいんじゃねーか?言ってることがコロコロ変わるし、性格がまるで別人みてーになっちまうなんて、ちょっと変だろ?なんか悪いモンでも食っちまったんじゃねーのか?」
イヴ「ストレスとか原因の精神的な病気とか……」
ジャミル「確かに、その可能性も否めないな。
しかし、医者か。熱砂の国に戻ればアジーム家お抱えの医者がいるが……今の様子じゃ、実家に連れ戻すのも一苦労だろうな」
「そんなぁ……」
「このままじゃ、俺達が先に参っちゃいますよ……」
万事休す。
一体、カリム先輩は何がきっかけであのような事になってしまったのだろう。
ジャミル「……今のスカラビアが抱えている問題は、つい先日までハーツラビュルが抱えていたものと似ている。ハーツラビュルも、寮長の圧政に寮生達が苦しめられていたとか……」
イヴ「それは……」
ジャミル「あっちは寮長であるリドルのユニーク魔法が怖くて誰も逆らえなかったんだろうが」
たしかに、リドル先輩のユニーク魔法には誰も逆らえなかった。
けれど、Aちゃんは、Aちゃんだけは怖気ることもなくリドル先輩を抱きしめた。
ジャミル「そこで、ハーツラビュルの問題解決に活躍した君達にアドバイスをもらいたい」
イヴ「……」
ジャミル「俺達はどうしたらいいと思う?」
Aちゃんにはもう、危ない目に遭ってほしくない
ここは私が考えないと。
グリム「ジャミルがカリムに決闘を挑んで、寮長になっちまうのはどうだ?」
イヴ「え……」
グリム「イヴも覚えてるだろ?学園長の提案で、エースとデュースがリドルと決闘したことを」
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冬雪(プロフ) - 瑠奈さん» 誤字報告ありがとうございます (2022年7月6日 9時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 452話でフロイドの発言のとこジェイドになってますよ (2022年7月6日 8時) (レス) @page22 id: f6c02603c1 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - かささん» 誤字報告ありがとうございます (2021年6月14日 19時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
かさ - 454話のジャミルの発言でリーチ兄妹になってますよ。 (2021年6月14日 19時) (レス) id: 1eba2fdd86 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 朔さん» ご報告ありがとうございます (2021年2月5日 9時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2020年6月13日 0時