◇446.逃走中 ページ16
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グリム「ふぅ……やっと部屋の外に出られたんだゾ」
イヴ「絞り出されるパスタの気持ちがわかった気がする」
無事イヴも穴から引っ張ることが出来た僕らは誰もいない廊下で息を潜めていた。
グリム「さ、今のうちにオンボロ寮へ戻るんだゾ」
『音立てるなよ』
イヴ「Aちゃんそれフラグ……」
刹那、地響きのような音が鳴り響いた。
グリム「ふな"っ!?し、しまったんだゾ。穴掘りを頑張りすぎたせいで腹が減って……」
僕とイヴはその場にずっこけた。
『お前は一体腹の中に何匹腹の虫を飼ってんだ!!』
グリム「腹が減ったんだから腹が鳴るのは仕方がないんだゾ!」
すると、数人の足音がこっちに近づいてくる。
「お前達、そこでなにをしている!」
グリム「ふぎゃっ、見つかっちまった!」
イヴ「ひえっ……」
「鍵はしっかり閉めたはずなのにどうやって外へ」
「あーっ!壁に穴が……!」
『あ、ヤベ』
「なんて往生際の悪い奴らだ!」
「脱走者だ!追えー!」
するとまた笛の音が鳴り響く。
グリム「捕まったらまた牢獄生活へ逆戻りなんだゾ!逃げろっ」
『イヴ、走れる?』
イヴ「う、うん!」
僕らは凄い形相で追ってくるスカラビアの奴らから逃走していると、向かい側からも増援しに来たスカラビアの奴らがこっちに走ってくる。
グリム「向かい側からも来るんだゾ!」
『右に曲がるぞ!』
角で右に曲がり、左に曲がり、階段の手すりに乗って降りる。
しかし寮内をアスレチックのように駆使しながら走り回ったせいかイヴの体力もそろそろ限界に近い。
一旦物陰に隠れて、息を整える。
グリム「とりあえず適当な部屋に入ってやりすごすんだゾ!」
イヴ「う、うん……」
周りに警戒しながら僕らは手近にあった部屋に入って扉を閉め、外の音に耳を傾ける。
「どこへ行った?手分けして見つけ出せ!」
「出てこい、ドブネズミどもめ!」
……足音が遠くなっていく。
どうやら撒けたようだ。
僕達は扉に背を預けて座り込む。
『ここの寮の寮生も血気盛んなこって』
イヴ「見つかるのは時間の問題かもね……」
グリム「くそぉ……。なんとか逃げ切る方法はねぇのか?」
『てか、ここ、なんの部屋なんだろ』
僕らが入った部屋は真っ暗で、何も見えない。
イヴ「電気のスイッチとかあるかな……」
『探してみるか』
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冬雪(プロフ) - 瑠奈さん» 誤字報告ありがとうございます (2022年7月6日 9時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 452話でフロイドの発言のとこジェイドになってますよ (2022年7月6日 8時) (レス) @page22 id: f6c02603c1 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - かささん» 誤字報告ありがとうございます (2021年6月14日 19時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
かさ - 454話のジャミルの発言でリーチ兄妹になってますよ。 (2021年6月14日 19時) (レス) id: 1eba2fdd86 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 朔さん» ご報告ありがとうございます (2021年2月5日 9時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2020年6月13日 0時