◆176.無理だよ ページ33
エース.
暇だったからオンボロ寮に遊びに来た。
エース「おーい、誰かいるかー？」
鍵がかかっていなかったから勝手に入って談話室に足を運ぶと、Aがいた。
エース「(なんだ、いんじゃん)」
ソファに座っているAに近づくと、本を開きっぱなしのまま目を閉じていた。
微かに寝息が聞こえる。
エース「寝てんの？」
応答がない。
どうやら本当に寝ているらしい。
隣に座って、Aの寝顔をじっ、と見る。
意外と整った顔をしているからムカつく。
睫毛も長い。
エース「(ん？)」
ふと、開いていた本に目が行く。
��異世界について��
そんな内容の本だった。
エース「(あ、そっか)」
そーいやコイツとイヴはこの世界の住人じゃないんだっけ？
当たり前のように数ヶ月一緒に過ごしてきたから全然気にしていなかったけど、
いつか、２人は元の世界に帰ってしまう。
それが、どうしようもなく気に入らなかった。
エース「……帰らないで、ここにずっといればいいじゃん」
『無理』
エース「！？」
寝ているはずのAの声が聞こえ、驚く。
エース「おまっ、起きてたのかよ！」
『エースがここに無断で入って来た時から』
エース「最初からじゃねーか！」
『イタズラして来たらぶん殴ってやろうかと思ったけど、今回は許したげる』
エース「……なんか企んでるのかよ」
Aは本を閉じると、ニヤニヤと俺を見る。
『僕達がいなくなることで寂しがってるエースくんに僕は暴力を振るうほど酷くないからね』
エース「……」
こいつのこーいう顔は嫌いだ。
『さっきの話の続きだけど、無理だよ。
この世界に、僕達はずっといられない』
エース「……やっぱ、帰りたいのかよ」
『そりゃあ帰りたいよ。僕達の本当の世界に両親がいるなら会いたいし』
エース「……」
『でも、この世界での生活は楽しい」
エース「！なら……」
『でも無理。僕らは帰る。絶対に』
Aは笑った。
そんな日は、来なくていい。
ずっと、来なくていい。
居場所がなくたって、今はオンボロ寮がある。
『その時が来たら、笑いながらくしゃくしゃになった顔で泣いてほしいな』
エース「バーカ。オレがお前らのために泣くわけねーだろ」
『いーや、絶対泣くね。君、僕達のこと大好きだろうからな！』
エース「んなわけねーだろ！バカバカバーカ！！」
『バカって言いすぎなんだよ！』
.
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冬雪(プロフ) - アルファさん» ご報告ありがとうございます。これからもご愛読の方をお願いします (2020年4月17日 15時) (
レス) id: e3ba6a1386 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - 161話で、八つ当たりはジャックすればいいになってました (2020年4月17日 11時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - とっても面白くて、何回も読み返したくなる面白さ･･･ヤバいです！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - アルファさん» ご報告ありがとうございます (2020年4月16日 18時) (レス) id: e3ba6a1386 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - 186話でレオナがレオナ先輩ってさいごにいってました (2020年4月16日 17時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2020年4月12日 3時
