◆68.惹かれていく ページ23
イヴ.
Aちゃんからまた直球な言葉が出た。
デュース「え」
『時々キレてたし』
デュース「そ、それは……」
『正直、僕君のこと優等生として見てないよ』
その言葉にショックを受けたのか「俺は最初から優等生になれていなかったのか？」とデュースくんは顔を俯かせた。
『デュースという人間を見ていた』
デュース「！」
『無理に優等生を演じなくていいよ。無理に頑張らなくていいからさ、辛い時は頼ってね』
デュース「A……」
デュースくんはAちゃんを見ていた。
きっと、彼は惹かれているのだろう。
自分を諭してくれるAちゃんを。ありのままの自分を受け止めてくれるAちゃんを。
優しいAちゃんを。
それがなんだか、寂しく思えた。
Aちゃんの良さをわかってくれるのは嬉しい。
なのに、どうしてこんなに寂しいのだろう。
グリム「オレ様だってさっきの不良どもにはあと１０発くらいパンチしてやりたかったんだゾ！その前にオマエがやっつけちゃったけど」
イヴ「私も最初は怖かったけど……お母さんのために頑張ってるって聞いたら、どうでもよくなっちゃったよ」
グリム「全部我慢するだけが優等生じゃないと思うんだゾ」
デュース「お前ら……」
『わかったならしゃがんでないで立て。少なくともこの場にいる僕達は君の味方だよ』
デュースくんの頭を撫でて、立ち上がったAちゃんはデュースくんが殴る前に置いた荷物を持ち上げて中身を見た。
『うへぇ……卵１パック割れてる。まさかこれが原因なの？』
イヴ「うん……先輩達が角から飛び出してきて、ぶつかって」
グリム「まあでも、口だけの奴らだったんだゾ」
『お前遠くから見てただけだろ』
グリム「そ、そんなことないんだゾ！」
『でも殻さえ除けば使えるし大丈夫でしょ』
卵で思い出した。
デュースくんが言っていたヒヨコになれずにって、まさか……
イヴ「(いや、まさかね……)」
デュース「そうか……へへ、無駄にならないならヒヨコ達も成仏してくれるよな」
イヴ「……」
『ヒヨコ？これは無精卵だからヒヨコにはならないぞー』
デュース「え」
『てか、食べる卵は全部無精卵だよ。
……もしかしてデュース、君、鶏卵からは必ずヒヨコが孵るとでも思ってたの？』
デュース「……」
直後、デュースくんの叫びとAちゃんの大笑いが響いた。
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冬雪(プロフ) - サナさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただければなと思うばかりです (2022年8月11日 20時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
サナ - やっと、2巻なんだゾ(このお話の)。楽しみ。 (2022年8月11日 18時) (レス) id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - ゆずさん» ご報告ありがとうございます (2020年10月13日 11時) (レス) id: a124ecb095 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ◆82話のところでトレイ先輩がトイレになっててめっちゃ笑いましたwwww (2020年10月13日 3時) (レス) id: 207a7fb508 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - るなさん» ご報告ありがとうございます (2020年10月4日 18時) (レス) id: a124ecb095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2020年3月31日 8時
