◆9.もういいよ ページ11
イヴ.
イヴ「この部屋は……」
『僕達がさっき隠れた場所だね』
クロウリー「ここは図書室です。あらゆる地方の書物がこの学園に納められています。少なくとも貴女達の故郷のことが知れるはずなんですが……」
そう言いながら気が遠くなりそうなほどの量がある本から私達の手かがりを探そうとしてくれる校長先生。
……優しい人だな
イヴ「(私、誰かに助けてもらってばかりだ……)」
自分の事は自分の事だ。
私も私の世界の本を探そうと思い、視界に映った本を手当たり次第読み漁る。
『んー……ないなー』
イヴ「何がないの？」
『童話』
イヴ「ど、童話？」
『うん。闇の鏡見て思い出したんだけど��白雪姫��っていうのあったじゃん？なんか無性に見たくなっちって』
……この子、頼り甲斐があるのかないのか
『でも、ないんだよ。白雪姫どころか��不思議の国のアリス��や��眠れる森の美女��とか』
イヴ「それはおかしい、よね。この本の数なら絶対あると思うけどなぁ……」
『まあ、いいや。帰れたらいくらでも読めるし』
イヴ「童話好きなの？」
『好きだけど……僕の場合、特殊っていうか』
イヴ「？」
クロウリー「有り得ない！」
目を泳がすAちゃんに首を傾げていると、今日はもう何度目かの校長先生の��有り得ない��が聞こえた。
急いで校長先生の元に駆け寄ると山積みになった本に挟まれながら頭を抱える彼の姿があった。
クロウリー「どこにもない……貴女達が住むという世界が、手かがりになるものがどこにも……」
イヴ「嘘……」
クロウリー「……でも、もしかしたら��今は��知らないだけかもしれない。もっと、古い書物を漁ればなんとか……」
『もういいよ、校長先生』
その時響いたAちゃんの声はこの場の雰囲気に合わないくらい緊張感のない、優しい声だった。
クロウリー「何がもういいよなんですか？」
『僕達の事は、もう調べなくていい』
クロウリー「何を呑気な……貴女、今の自分の状況わかっているんですか？」
『わかってるよ。これでも理解力はいい方。
でもさ、校長先生は他人で、本来なら関わらなくていいはずなんだよ』
クロウリー「……」
『あ、でも、この図書室は貸してほしいな。帰り方とか調べたいしさ』
Aちゃんの言ってることは正論だった。
私は何も言わずに、校長先生「それもそうですね」という言葉を待っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬雪(プロフ) - コメントありがとうございます。どうぞ次にお進みくださいな (7月15日 10時) (
レス) @page50 id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
さ - 嫌いに!!なるわけ!!ないだろ!!寮長!!続き読んできます！！！ (7月15日 8時) (レス) @page50 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - るきあさん» コメントありがとうございます。見つけてくれてありがとうございます (2022年4月23日 17時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
るきあ(プロフ) - やっと見つけた！！！！！！！！！！！！！！！！！機械壊れて占ツク入れてから数ヶ月探してたけど見つかりました…応援してます…一から読み直します‼️ (2022年4月23日 17時) (レス) id: e2065bbc2b (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - はわわさん» コメントありがとうございます。ハマっていただけて嬉しいです。自分もここまでくるとは思いませんでした (2022年4月13日 0時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬雪
| 作成日時：2020年3月23日 0時
