145.彼らの物語 ページ7
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山姥切「はぁ……」
『はぁ……』
二人で溜息を吐く。
本丸全体を見渡せる神楽の舞台の上で膝を抱え、一向に気分が晴れないでいた。
山姥切「……悪かったな」
『え？』
山姥切「写しなんかがあんたに触れて」
『だから私は写しというのは……はぁ……』
そこまできて私は更に膝を抱えて丸まる。
自分で決めたことなのに、知らないというのは本当に彼らのためにならないな。
知ってても知らなくても彼らを傷つけることになってしまうのなら、いっそのこと知ってて知らないフリが出来たらどんなに楽だっただろうか。
『無知は罪……』
山姥切「……」
『私……陸奥守さんのことはあまり知らない、知ろうとしなかったんです。それでも、一つ知ってしまったら、気になって仕方がなかったんです』
山姥切「……？」
『先日、陸奥守さんのお布団のシーツを洗濯するために取りに行ったことがあるんです。トイレに行ってしまったのかお布団は畳まれていませんでした。私は枕に触った時、固いものが手に当たって、見てみると、そこにあったのは拳銃でした』
山姥切「……」
『気になるけど、怖くて、聞けないんです』
いつも私に笑いかけてくれる陸奥守さん。
おおらかで、優しくて、お兄さんのような彼に裏の顔があると思うと、怖くて聞けなかった。
何も聞けなかった。
……また、涙が出てくる
こんな時、祖父ならどうしただろう。
豪快な人だと聞いているから、本人に直接「お前何この拳銃」とか聞いてしまうのではないだろうか。
すると、山姥切さんが私の後頭部に手を回し、引き寄せて、私のおでこが山姥切さんのおでこにくっついた。
初めて見る山姥切さんの顔に息を呑んだ。
いつも布で隠れた顔は、とても綺麗で、開いた口が塞がらないくらいに私は彼の翡翠色の目を見つめていた。
山姥切「……前代なら、こう言う」
『……？』
山姥切「��お前、枕の下に拳銃なんて痛くねぇのかよ��と」
『(何故だろう、否定出来ない)』
山姥切「最初からあんたは気にしなくていい。
これは俺らの物語なのだから」
『物語……』
山姥切「陸奥守も、俺も、他の刀剣も、あんたも、他の人間も、全員が持っている」
だから、気にするな、とだけ言って山姥切さんは私から距離を取ると、立ち上がり、階段を降りて行ってしまう。
誰もが持って、誰も気にしなくていい物語。
それが、��彼らの物語��なんだ
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あむ - 私が読んでる夢小説の中で一番好きです‼︎更新楽しみに待ってます‼︎ (2022年5月29日 8時) (
レス) id: 349116d89c (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 更新楽しみに待ってます(●´▽`●)だれ落ちになるんでしょうか？ (2021年10月25日 16時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - 一番最初から読んできて、この物語はずっと私の癒しになっています！更新頑張って下さい、応援しています！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2020年2月4日 3時
