144.相応しいか、 ページ6
山姥切.
……あいつが、いない
審神者部屋も、襟巻き二人組の部屋も、粟田口部屋にも、どこにもあいつがいない。
山姥切「……俺が写しだからか」
「それとこれとは関係ないかと」
俺が写しだから愛想を尽かしたあいつは居なくなったんだと自虐的になっていると横から宗三左文字が言う。
宗三「あの娘に限って誰かを嫌うなんて、ないと思います。どうしようもないくらいのお人好しですからね」
山姥切「……」
宗三「ほら、通路でいじけないでください。掃除の邪魔です」
言われた通りに退くと、通路や床を雑巾で拭いていく宗三左文字。
宗三「……なんです？」
山姥切「……あいつと、話したのか？」
宗三「はぁ？」
山姥切「あいつと話した奴しか��どうしようもないお人好し��なんて言わない」
宗三「……少しだけですよ」
木柱を拭きながら「あっちから声をかけてきたんですよ」と、離れにある神楽の舞台に目を向ける。
宗三「��この本丸を一望出来る場所はどこか��と聞かれ、酷く切羽詰まっていたので仕方なく」
山姥切「……」
宗三「行ってみたはどうですか？
懐かしい光景が観れるかもしれませんよ」
.
.
前代が死んだから、誰も立ち入ることのなかった神楽の舞台。
何故作ったのかと聞けば、
「なんか、雰囲気出るだろ？」と戯けて笑った。
長い階段を上り、そこに辿り着くと、主がいた。
陽に照らされ、風で髪がたなびいている。
一歩、踏み出せば床が軋む音が響き、その音に気づいた主は振り返ったが、何故か主は泣いていた。
本来の瞳と赤い瞳から流れる涙は不謹慎だが、綺麗だと、思った。
『山姥切、さん……っ……』
山姥切「あんた……」
『私……陸奥守、さんに、……嫌われたん、ですかねぇ……』
涙を流しながら無理に笑う。
その姿を見て、心臓の辺りが痛んだ。
……何度も、見てきた筈だ
そしていつも泣いているあいつを慰めるのは近侍の俺ではなく、他の刀剣男士達。
ずっと傍観していた俺は、近侍に相応しくないと思っていた。
だから、
山姥切「(誰かに頼ろうとするなんて)」
そう思ってしまった時点で、俺はこいつに相応しくない。
山姥切「(……それでも)」
俺は主に近づく。
主の涙を拭えば、主は柔らかく笑った。
山姥切「……何故笑う？」
『山姥切さんが涙を拭ってくれるのが嬉しくて』
山姥切「……飛び降りる」
『何故ですか！？』
.
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あむ - 私が読んでる夢小説の中で一番好きです‼︎更新楽しみに待ってます‼︎ (2022年5月29日 8時) (
レス) id: 349116d89c (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 更新楽しみに待ってます(●´▽`●)だれ落ちになるんでしょうか？ (2021年10月25日 16時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - 一番最初から読んできて、この物語はずっと私の癒しになっています！更新頑張って下さい、応援しています！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2020年2月4日 3時
