148.捨てられる側 ページ10
陸奥守.
『やめてください！！！』
声が聞こえた途端、桜吹雪が自分達を襲う。
桜が自分らの本体を包むと強制的に体内へ戻されてしまう。
振り向くと赤い目を光らせた主が立っていた。
陸奥守「おんし……」
『な、何やってるんですか！仲間同士で、そ、そんなこと！』
今にも泣きそうな顔をする主に酷く胸が痛んだ。
蛍丸「反逆者を倒すためだよ」
『反逆者って……』
蛍丸「お前が悲しまないように、お前を裏切る奴は全員倒した方が手っ取り早いと思って」
『そ、そんなの駄目だよ！』
蛍丸「……なんで？」
『ここにいる刀剣男士は理由があって私を蔑視するんです！人間が簡単に信じられないだけなんです！だから、ゆっくりじゃないと駄目なんです……』
蛍丸「ゆっくり？」
『無理矢理にやってしまったら、もっと距離が空いてしまう。お願いだから私のやり方でやらせてください。そうじゃないと傷つくのは私だけじゃなくて蛍丸くんも傷ついちゃうよ……？』
蛍丸「……」
蛍丸は少し黙ると俺達に背を向けた。
蛍丸「うん、わかった」
『……』
蛍丸「でも、お前のことは俺が守るよ」
そう言うと、蛍丸は廊下の奥へと消えて行った。
張り詰めた空気が和らいだだからか、床に座り込む主。
陸奥守「主！」
近寄ると主に袖を掴まれてしまう。
『……私は、坂本龍馬を殺した者じゃないですよ』
陸奥守「！！」
『きっと寝ぼけてたんですよね？今度からお酒のガブ飲みは遠慮してくださいね』
主は怒るわけでも、泣くわけでも、自分を軽蔑するわけでもなく、ただ自分に笑みを浮かべた。
心臓が締め付けられるような感覚に襲われ、衝動的に主に縋るように抱き締めた。
陸奥守「……すまん、主」
『いいんですよ。私も少々不躾でしたし』
陸奥守「……」
『大切にしたかったんですけどね……』
陸奥守「え……」
『陸奥守さんは、私の初めての刃者ですから』
主を慕う刀剣男士は、初期刀というものに憧れる。
その唯一が自分で、主に大切にしたいと思われているのが自分で、その��特別��が何より嬉しい。
陸奥守「すまん、主……」
『もういいですよ。ただ、もう私から逃げないでください。
捨てられるのは、嫌ですから』
陸奥守「っ……」
なんでこの娘は、こうにも優しいのだろう。
捨てる側はいつでも人間だというのに、何故自分から捨てられる側に立つのか。
陸奥守「(可哀想な娘だ……)」
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あむ - 私が読んでる夢小説の中で一番好きです‼︎更新楽しみに待ってます‼︎ (2022年5月29日 8時) (
レス) id: 349116d89c (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 更新楽しみに待ってます(●´▽`●)だれ落ちになるんでしょうか？ (2021年10月25日 16時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - 一番最初から読んできて、この物語はずっと私の癒しになっています！更新頑張って下さい、応援しています！ (2020年2月8日 10時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2020年2月4日 3時
