【刀剣乱舞】妖物語 (ページ40)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:54,253 hit

131.あの子の幸せをページ40

骨喰.

鯰尾「主に近づく怪しい男は～……こうっ！」

そう言って兄弟は藁で作った敵に見立てた人形の顔面を木刀でめり込ませた。

骨喰「わかった」

鯰尾「でもこの技は主がいる目の前でやっちゃ駄目だからな」

骨喰「なんでだ？」

鯰尾「主はお人好しだし誰かが傷ついたらたとえ嫌いな奴でも助けようとすると思うから。傷ついた表情をした主は見たくないだろ？」

＿＿＿＿『損傷した瞳が治せないのも、抱きたくもない不信感を抱かせてしまうのも、傷つけてしまうのではないかと不安を抱かせてしまうのも全部、私が貴方達を傷つけているから』

＿＿＿＿骨喰「違うっ！……これは俺が悪いんだ」

＿＿＿＿『貴方を生かしてしまったのも私のせい』

あの時、自嘲気味に笑う主の顔を見た俺は酷く心臓の辺りが痛く、苦しいと思った。

あれは、お互い様、というものだった。

人間は俺達を傷つけ、俺達は主を傷つけた。

骨喰「もう、あいつが傷ついた顔は見たくない」

鯰尾「結構泣かしちゃったしねー俺達。
だから、守ってあげないと。辛い事を乗り越えてまで俺達と一緒にいてくれるんだもん、最後まであの子のことを幸せにしてあげないとね」

骨喰「あぁ」

兄弟は微笑んだ。

鯰尾「それより他の刀剣達はいつまで主に警戒心を抱いたんだろうね。もうそろそろ出てきてもいいと思うよねー」

骨喰「ここに来る前のことは俺は知らないが、俺は他の刀剣達にも主の良さを知ってもらいたいと思っている」

鯰尾「だよねだよね？あ、知ってる？主って意外と軽くて、んであんなに細いわりには柔らかいんだ」

骨喰「……」

兄弟から木刀を奪い取って兄弟の腹を突いた。

鯰尾「ゴハァ！！
な、なぜ……？」

骨喰「破廉恥だ兄弟」

鯰尾「ほんっとお前、主のこととなると過激派だよなぁ……」

腹を抱えて項垂れている兄弟を放っといて木刀と練習人形を元の場所にしまっていると振り子時計というものが音を鳴らせ、その音は道場内に響き渡る。

鯰尾「あ、十二時だ。そろそろ鍛刀終わった頃じゃない？」

骨喰「そうだな。行ってみるか」

回復した兄弟と鍛刀場に向かうと＂鍛刀完了＂という文字が二つの神棚に表示されていた。

鯰尾「主、二振り鍛刀してたんだ」

骨喰「開けるか？」

鯰尾「そだね。んじゃ、せーのっ」

兄弟の合図で神棚を開け、強い光が放ち、光は人の形を成して、そいつらは現れた。

骨喰「でかっ」
鯰尾「でかっ」

.