【刀剣乱舞】妖物語 (ページ24)

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115.信じてるページ24

鯰尾.

障子をそっと開けると主は規則正しい寝息をたてて寝ていた。

傍まで歩み寄って、座って主の寝顔をじっと見る。

「(……苦しくなさそう)」

主のおでこに触れて、自分のおでこにも触れて体温を確かめるけれどわからない。

人間の体温ってどれぐらいが常温なのだろう。咳はするけれど風邪なんて引いたことないからどれくらい辛いのかも俺は知らない。

「(そういえば馬鹿は風邪引かないんだっけ？)」

馬鹿と馬鹿じゃない人の身体の構造が違うのだろうか、と考えていると誰かの足音が近づく。

「兄弟」

「ん？あ、骨喰～」

「突然いなくなるな。俺が加州に叱られる」

「そん時は俺が一緒に怒られるから安心してよ」

「兄弟が主な原因なんだがな」

そう言いながら骨喰は部屋の中に入って来て普段は見せないオロオロとした表情で主を見る骨喰。

……

「……主は」

「へ？」

「主は……大丈夫なんだろうか」

「大丈夫じゃない？薬研は風邪って言ってたし」

「風邪は命に関わる病気ではないのか？」

「違う違う。不治の病より重くない病気だよ。死なないし、すぐ治るから心配する必要はないよ」

「……そうか」

……あ、笑った

骨喰は安心したように笑った。

無愛想な骨喰がこんなにも笑顔になるなんて、一兄も吃驚だ。

主、貴女は一体、何者なんですか？

こんなにも俺の兄弟の何かを変えてしまう存在は貴女しかいないのかもしれません。前代より、本当に凄い力を秘めているのかもしれません。

「(なんだか少し胸が痛い……)」

兄弟が頼りにしたのは俺ではなく貴女だった。

それがどんなに悲しくて、虚しくて、寂しかったかなんて貴女には理解出来ないのかもしれないけれど貴女は贔屓とか出来ない人だろうから、いつか俺の何かも変えることを信じていますよ。

「……兄弟、そろそろ戻ろう」

「え～」

「え～、じゃない。加州に見つかったら厄介だ」

「それはたしかに」

俺は立ち上がる前に、もう一度主の顔を見る。

主の放り出された髪に手を伸ばし、触れる。その手は次第に主の前髪にへと伸び、隠れた目が露わらになるが今は双眸は閉じられている。

刹那、骨喰に襟を引っ張られ引き摺られる。

「やはり加州に報告した方がいいようだ」

「え、ちょっ、なんで！？」

「寝ている女子に許可なく触れるなど不躾にも程がある」

「出来心じゃん！」

「兄弟煩い。主が起きる」

「ちょっ、首！首絞まってる！暴力反対～！」

「煩い」

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