【刀剣乱舞】妖物語 (ページ30)

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121.招かれざる客ページ30

薬研.

薬研「(今のめっちゃ痛ぇだろうなぁ……)」

信濃と後藤は案の定痛みに悶え、乱は腕を組んで仁王立ちをして二振りを見下ろしている。

乱「あんた達がなかなか心を開かないから主さんも進んでいいのかわからないままなんだよ。僕達が彼女に歩み寄らないと彼女は何も出来ないってわかってるんでしょ？」

後藤「何も出来ないって……」

乱「＂前の主＂……」

後藤「……あ」

乱「今の主さんはすっごく優しいの。正直、あの主と主さんを比べられるのは好きじゃない。あいつと比べられるなんて今の主さんが可哀想」

俺は調合し終えた薬を乱に渡す。

薬研「乱、出来たぞ」

乱「あっ、ありがと。
……もし主さん泣かしたらお前ら鯰兄に頼んで馬糞漬けにしてやるからな」

笑顔で中指を立ててそう言った乱は颯爽と部屋から出て行った。

そして後藤達を見ると案の定身体を震わせていた。

正直言って兄弟の中で怒らせたら怖いのは乱だ。

前代の初期刀今剣の後に来たらしく、強さもずば抜けているため唯一怒らせたくない存在だ。

信濃「でもどうしたらいいんだろ」

薬研「ん？なんだ、お前らも大将と仲良くしたいんじゃねぇか」

後藤「だって大将まだ若いだろ？」

薬研「まだ十七って言うからな」

後藤「は？赤子じゃん」

薬研「俺らと比べたらな。
でも本で読んだんだが十七の娘は大人になる一歩手前らしい。人間は二十になれば成人するらしいぞ」

後藤「マジかよー……」

そう言って頭を抱える後藤。

後藤「まだ全然一緒にいるじゃん」

薬研「お前らは前代と過ごした日数が極めて少ないからな。でも人間の寿命はすぐ切れる。だから後悔だけはさせないでやってくれよ、兄弟」

笑いかけると、不意に誰かの足音が聞こえ、感じる霊力に不審感を覚える。

薬研「……誰のでもねぇな」

後藤「数は一つ」

俺達は声をひそめて自分の中から本体を取り出し、警戒しながら部屋の外を覗くが、そこには誰もいないし感じていた霊力も消えている。

しかしまだ警戒しないといけない。

後藤「……なんだったんだ？今の」

薬研「招かれざる客人ってやつだな。大将が風邪で弱っているから外部から何かが侵入したんだろ」

信濃「俺一様他のみんなに知らせてくる」

薬研「俺と後藤は霊力の跡を追おう」

後藤「おう」

その場で俺達は別れ、本丸を探索する。

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