【刀剣乱舞】妖物語 (ページ21)

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114.絆されていくページ21

加州.

「あの子のこと、あまく見てると後悔するのは自分だよ。人間の身を得たとしても本分が刀の俺達にはどちらにせよ主が必要になるんだよ。あの子は内気のように見えて俺達を＂この人がいないと生きていけない＂と無意識に洗脳していくんだよ」

誰もが言う厄介な存在。

それがAなのだと実感するには時間はかからないのだ。

縁側で休憩していると＂そいつ＂は久し振りに俺の前に現れたと思ったら改まった姿勢で問う。

＂二代目の主はどのような方か＂と

「そこらの女人とは違う、とは言えない。世の中にはあの子のように感情が豊かで、泣き虫で、誰にでも優しい女がいるかもしれないから特別とは言えないよ」

「……」

「でも俺らにとっては特別。特別としか言いようがない。でも特別扱いなんてしてやんない」

「……？」

「あの子に……主に自分のことを知ってもらいたいなら自分らしくあれってことだよ。変に騙すために善人を装ったり近寄らせないために嫌われるようにしたりするのは逆効果。大目玉を喰らうのは自分なんだよ」

＂ソイツ＂は目を張る。

どうやら相当悩んだらしい。

……それもそうか

現に兄弟達があの子の傍に惹き寄せられているのだから。あんなにも人間を警戒していた兄弟達が、自分の言うことを聞いていた兄弟達が自分の足で、自分の身体で、自分の意思であの子に近づいてきているのだから。

「試しにアンタから近づいてみれば？」

「……っ」

そう言うと＂ソイツ＂は首を横に振る。

いつからコイツは臆病者になったのだろう。前代がいた頃は率先して出陣したり、鶴爺さん以外には愛想が良く、それなりに勇気がある奴だった。

……大体は想像がつく

全て＂アイツ＂のせいだ

「もし、あの子が＂アイツ＂と同じように兄弟達に手を出したら斬ってもいいんじゃない？」

「！」

「何動揺してんの？初っ端からアンタはあの子を斬りたくて仕方がなかったんじゃないの？」

「……」

「もう迷ってる時点でアンタはあの子に毒されてるんだよ。もう後には引き返せないくらいに」

あの子の笑顔は武器であり、言葉は毒である。

吐かれた毒は刀剣男士達に浸食していく。厄介だ。

もう後には引き返せないくらい、あの子に依存していき、絆されていくのだろう。

「あの子の主成分は＂毒＂」

「……」

「ね、そう思わない？」

一護

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