【刀剣乱舞】妖物語 (ページ3)

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96.準備ページ3

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____私の、意中の相手でした

活撃さんはそう言いました。

よくよく考えてみると、私は生まれて初めて男の人にフラれたということになってしまうわけで。

……何故だろう、凄く虚しい

「……あ、こんな所にいた」

『加州さん』

縁側に座って日向ぼっこをしていると加州さんが私を見つけると手に持っていた羽織を私に見せる。

花々が綺麗に刺繍された淡い色の羽織を受け取ると私は制服の上にそれを羽織る。

今日は＂演練＂

先日、活撃さんに是非手合わせを願いたいと申し出を受けた私は快く引き受けた。

演練場は和服姿の審神者が多いが巫女服などを持ち合わせていない私は学校の制服の上に羽織を着る。

「臭いとかない？納屋から無理矢理引っ張ってきたやつだから埃臭いかも」

『……なんだか懐かしい匂いがします』

「アンタの婆さんのだった物だからじゃない？」

『え、祖母のだったんですか？』

「そうそう」

お婆ちゃんの遺品はもう無いと思ったけれど、ちゃんとここに残っていたんだ。

お婆ちゃんが傍にいるみたいで、なんだか安心してしまう。

「……嬉しそうだね」

『はい……だって、大好きな人の匂いが傍にあるって凄く安心出来るじゃないですか。……死んだ人の匂いなら尚更』

「あー……わかる」

『(このまま、祖父のことも思い出せたらいいのに)』

お爺ちゃんの顔は思い出せたけれど、私は未だに彼の人柄、匂いについては全く思い出せていない。

そしたら、何かが解る気がする。

全てを思い出した時、何かが解って何かが変わって何かが動くのかもしれない。

『……みんな、準備出来てましたか？』

「出来てたよ。行くのは山姥切、陸奥守、鯰尾、骨喰、今剣に前田でいいんだよね？」

『はい』

「にしても主、前田と話したことあったっけ？」

『話したことありませんが前田くんが演練に出たいと言ったので彼を参加させることにしました』

「……大丈夫かなぁ……」

『え？』

「いや、こっちの話」

この頃、刀剣男士の独り言多いな、と思っていると加州さんは慣れた手つきで私の髪を整える。

そしてポンっと私の肩に手を置く。

「ほい、んじゃ頑張ってきな」

『はいっ』

私が審神者になって二ヶ月半のこと

桜の雨が終わって、今度は空の雨が降る季節が近づいた頃

新しい物語の表紙を開けるように

私の審神者生活は続いていく

『いってきますっ』

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