54.どっちぼーる 其ノ弐 ページ8
.
『ど、どうなっても知らないからねっ！』
力一杯投げた筈のボールは宙で大きく曲線を描いて綺麗に信濃くんの手元に着地した。
そして肩にポンッと手を置かれ、後ろを振り向けば親指を立てて頑張ったな、と言っているような笑みを浮かべる厚くんと薬研くんに申し訳なさで泣きたくなってくる。
「……なんかよくわからないけどラッキー！」
信濃くんがボールを投げると今度は五虎退くんにボールが迫る。私は五虎退くんに手を伸ばすが、五虎退くんはボールを見事にキャッチして先程オロオロしていた彼とは思えない鋭い表情でボールを投げ、そのボールは見事に信濃くんに当たる。
『……ご、五虎退くん凄い！カッコイイ！』
「……え、えへっ」
そう言って照れたように柔らかく笑って控えめなＶサインをする五虎退くんは凄く可愛い。
「たーいしょっ」
『え』
油断してると感度は薬研くんが私にボールを手渡してくる。
『また！？』
「霊力使っちまえばいいだろ」
『そ、それってルール違反じゃ……』
「あっちもあっちとて岩融という名のハンデを使ってんだ。こっちもハンデを使おうぜ。手元にある武器は使いまくれ、ってよく言うじゃねぇか」
『そんなの聞いたことないよ！』
どうやら私が何を言っても無駄なようだ。何故なら薬研くんは私に親指を立ててお前ならいける、とでも言いそうな笑みを浮かべているのだから。
こうなってしまったからには自棄である。
私は力を込める。すると、隠れていた片目が露わになり視界が良好になると同時に周りに桜は吹雪が舞い上がる。
「おっと、これはちと、あかんな」
「まさかれいりょくをつかうきですか！？」
「ルール違反だろ！」
もう、止められない
私はボールを力一杯に投げた。
するとボールは今剣くんの頬を擦り、塀に当たる。何故か当たった場所にヒビが入り、傷が広がる。
『……や、やり過ぎた』
外なのに私の呟きが響いたような気さえした。
まさか霊力でここまで被害を及ぶなんて思わず加減も考えずに無我夢中で投げてしまった。これでは誰かに怒られてしまうと思っていると、誰かに袖を引っ張られた。
「……主様、凄いです……！」
『……へ？』
「前の主様みたいで凄い霊力でした」
「流石だぜ大将！どうだ？少しはストレス解消にはなったろ？」
「やっぱ大将の霊力は��規格外��だなっ」
褒められるとは思わなくて、私は頬を掻いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
