53.どっちぼーる 其ノ壱 ページ7
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ビュオッ
ドッチボールで聴いたことない効果音だと思った。
五虎退くんに連れられて庭に来てみると小さい子達の歓声を浴びていたのは岩融さんと今剣くんで、彼らは風を切るような音ではなく、風を斬るような音を出しながら平和ではないドッチボールをしていたのです。
……アレ、当たったら骨が折れるのでは
「……ん?おや、2だいめのあるじさまではありませんか」
「お、大将もやるか?どっちぼーる」
『いや、えと……私は』
遠慮します、と言いかけた時、五虎退くんの視線が刺さる。潤んだ瞳でオロオロとされては断れないじゃないか。それに若干、私を睨みつけてる子も中にいるし。
でも薬研くんと厚くんがいるから多分大丈夫なんじゃないかと私は私の判断を信じたい。
『て、手加減さえ……してくれれば』
「では2だいめさま」
『(二代目様……)』
「ほねがおれないていどにてかげんしますね」
私にはわかる。今剣くんは本気だ。本気で私を骨が折れない程度に狙ってくるに違いない。
「ちーむ、どうします?」
すると五虎退くんが私の袖を掴む。そして薬研くんと厚くんが私の味方になってくれた。
相手チームには今剣くんと岩融さん、それと……
『(あの二人は……)』
「あいつらは信濃と後藤。俺達の兄弟だ」
『そ、そうなんですか……』
「かいわはおわりましたかー?」
気づけば相手側はもう既にスタンバイしていた。私達も向かい合うようにスタンバると、私はある事に気付いた。
『(岩融さん、体格的に私達が不利なんじゃ……)』
「いきます!」
今剣くんが子どもとは思えない程の腕力で投げたボールは風を斬る音を発しながら私に一直線に迫って来る。
それがほんの一瞬の出来事で、私は瞬きをした。
刹那、薬研くんが横からボールを受け止めた。
『(す、凄い瞬発力……)』
「おーらよっ」
薬研くんが投げたボールは岩融さんの元へ一直線に迫るが、岩融さんは片手で受け取る。
……力量の差が明らかではないだろうか
「良い玉だな薬研よ!」
「岩融の旦那に誉めてもらえるなんて光栄だな」
「しかし手加減はせぬ!」
岩融さんが投げたボールを厚くんが受け取る。
すると何故か厚くんは私にボールを渡してくる。唐突の事に一瞬思考が停止するが理解すると冷や汗が止まらない。
『ぇぇええ!?』
「一発ぶちかませ大将!」
『無理無理無理無理無理!!』
「ぼ、僕……あるじさまを信じてます……!」
『ヒエッ……』
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冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい!楽しみにしてます!! (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2019年5月20日 21時