92.供え物 ページ46
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仕事も一段落ついたことだし休憩しようということで外の空気を吸おうと障子を開けると籠沢山入った苺が足元にあって危うく踏みそうになってしまうがギリギリのところで止まる。
『……な、なんでこんなところに苺が』
多分畑で収穫されたばかりの苺だろう。しかし何故直接台所ではなく私の所に置いて行ったのだろう。
……代わりに運んでおいてという意味だろうか
「そんな所でしゃがんで、どうしたんだい？」
『あ、歌仙さん』
「……おや、懐かしい光景だね」
内番服姿の歌仙さんは苺を目にすると私と同じように、その場にしゃがんで苺を眺める。
『懐かしい、ですか？』
「前代の主に短刀達がよくやっていた事だよ。主が仕事中だと短刀達は邪魔しないように、そっと果実や菓子を審神者部屋の前に置いて行くんだよ」
『な、なるほど……』
……なんか、お供え物された感が拭えない
でもなんだか嬉しい。短刀の子なら乱くんや五虎退くんあたりだろうかと思いながら籠を持ち上げる。
一つ口に含んで噛むと、自然の甘酸っぱさが舌に上に広がる。
『……美味しいです』
「それはよかったね」
『残りは短刀の子達に食べてもらいましょうか』
「おや、君が全部食べないのかい？」
『だって美味しいものはみんなで共有したいじゃないですか』
そう言うと歌仙さんは一瞬だけ目を張る。
すると今度は悲しそうな表情を浮かべ、しかし口角を上げ、何かを懐かしむように呟く。
「……やはり、血は繋がっているということだね」
『え？』
「前代も同じようにしたってことだよ」
『……祖父が』
「雅ではなかったけれど、その部分は尊敬出来た、かな。雅ではなかったけれど」
『(……雅ではなかったけれどって二回言った)』
歌仙さんはそう言うと私から苺を取って「これは苺大福にでもしようかな」と呟いて廊下の奥へと消えてった。
あの歌仙さんにも気に入られていたお爺ちゃんは、本当に優しくて人望が厚い人だったのだろう。
……一度でいいから、話してみたい
お爺ちゃんはどんな風に彼らと接してきたのだろうとか、聞きたいことが沢山あるわけで。
……ずっと祖父の面影を追っている
「主」
ぼーっとしてると加州さんに呼ばれ、我に返る。
『なんですか？加州さん』
「大丈夫？なんか微動だにせず立ってたけど」
『だ、大丈夫ですよ……えっと……』
「あ、そうそう、アンタに客人だよ」
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冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
