86.土方組 ページ40
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「主って体力ないね」
『もうなんとでも言えです……』
軽い気持ちで大和守さんと素振りをしたけれど想像以上にキツイものであり、腕がパンパンである。
『(明日筋肉痛確定だな)』
腕が痛いといろいろと支障が出るのだけれど自業自得とはこの事なのだろう。
『それでは私は一度自室に戻りますので』
「うん」
廊下で大和守さんと別れると私は自室へと足を動かしていると角で誰かとぶつかりそうになる。
顔を上げると堀川さんと目が合った。
『あ、堀川さん、おはようございます』
「……おはようございます、主さん」
『お身体の具合はどうですか?』
「大丈夫ですよ」
『ほ、本当ですか?第三の目が開きそうとか右手が疼くとか新しい扉が開きそうとかありませんか?』
「本当に大丈夫ですよ」
そう言ってニコッと笑う堀川さん。
なんだか当初と違っての穏やかさに呆気を取られてしまうが本当に平気そうで良かった。
私としたことが、心配するあまり厨二病の思いつく特徴を言ってしまったが、なんだかんだ私が一番厨二病に近い存在なのだと少々悲しくなってくる。
『それでは私は自室に戻りますので……』
「え、でも今から朝餉だよ?」
『私の朝ご飯はいつも自室の前に置いてあるので』
すると突然、頭の上に何かが乗っかる。
「別に俺達と食ってもいいじゃねぇか」
見上げると私の頭の上に手を置いていたのは和泉守さんで、私の顔を覗き込んでいた。
『……でも』
「なんだよ、俺達と食うのは嫌ってか?」
『そ、そういうわけでは……っ!』
「てかさっきすれ違った加州に言っちまったし」
『え』
……本当にいいのだろうか
「早く行こ主さん」
『……迷惑では、ありませんか?』
「なんで?」
『私がいることで、刀剣男士のみんなが食欲を失くしたりしないでしょうか』
「……大丈夫だよ。貴女の隣に座りたいと思ってる子達もいましたから誰も貴女を拒みません」
そう言って堀川さんと和泉守さんは先に大広間へと歩き始める。私は咄嗟に二人の袖を掴んでしまう。
『……あ』
すぐに離すと今度は和泉守さんに背中を押される。
「何遠慮してんだよ」
『す、すみません』
「謝んなくてもいいんだよ。お前は素直になればいいんだよ。一人で飯食ったって腹膨れねぇだろ」
「そうだよ。主さんはこの後お仕事でしょ?昼餉の前にお腹空いちゃうと集中出来ないからね」
そう言って堀川さんと和泉守さんは私の頭を撫で回した。
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冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい!楽しみにしてます!! (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2019年5月20日 21時