57.人間とは ページ11
大和守.
強い霊力を感じると思って、縁側に来てみれば主が短刀の今剣と五虎退を抱き締めていた。
微かに敵の気配のようなものも感じていたのだけれど、いつの間にか気配はなくなっていた。なんだったのだろう。
「あれ、大和守さんじゃないですか」
声をかけたのは鯰尾藤四郎だった。後ろに……たしか今日顕現されたと言われた骨喰藤四郎、がいた。
「何か見てたんですか？」
「……あれ」
僕は主達を指差す。
理解した鯰尾藤四郎は何故か安心したように微笑んでいた。
「あの人なら大丈夫かな……」
「え？」
「いえ、あの人が来る前に政府から派遣された審神者がいたんですけどね？三人いたんですけど、その中の一人に短刀に手を出そうとした審神者がいたんですよ。健全な触れ合いではなく、不健全な方の触れ合い方で」
「……ふーん」
「それはもう気持ち悪かったんです。指や太腿を舐められたと聞いた時は背筋が凍りました」
人間って、そんなこともするんだなぁ……
「俺もあの人のことは斬ろうとしました」
「刀が主を斬るの？可笑しな話だね」
「でもやめました。俺はあの人の��人の良さ��というものを見てしまったのでやめました」
「……君の人間に対する恨みってその程度だったんだね」
��人の良さ��を見ただけで信じるなんて単純過ぎやしないか。僕がそう言うと鯰尾藤四郎はニコッと笑った。
「俺、あの人のこと可愛くて仕方ないと思ってるんですよ」
その言葉の意味が解らなくて、聞こうとしたら主がこちらに歩み寄ってくるのが視界の端で見えた。
『えっと……どうしました？なんだか不穏な空気を感じたので』
「なんでもありませんよ〜」
『そうなんですか？』
「……うん」
僕を見た主に応えると、鯰尾藤四郎の背後に隠れるようにいた骨喰藤四郎の方を見て、目が合うと逃げるように去ってしまう骨喰藤四郎。
『あ……』
「あ、あいつ……すみません主」
そう言って骨喰藤四郎を追いかける鯰尾藤四郎の後ろ姿を僕は呆然と見ていた。主は溜息を吐いた。
＿＿＿俺、あの人のこと可愛くて仕方ないと思ってるんですよ
さっきの鯰尾藤四郎の言葉が頭に過る。
「……ねぇ、主」
『は、はい！なんでしょうか？』
「主って可愛いの?」
俺がそう言うと主は間抜けな顔を浮かべる。
『え……それ、は……ナニユエ……』
「気になったから。どうなの？」
『じ、自分では可愛いとは……思ってないです』
.
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冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
