52.青葉つむぎ ページ4
青葉.
……あれ？眼鏡してる
時々昼休みに図書室の貸し借りが出来ない本を読みに来る、つい先日やっと話すことが出来た転校生の女の子、Aちゃん。
普段は裸眼の筈なのに今日は眼鏡をしている。
「こんにちはAちゃん」
『あ、青葉先輩』
「Aちゃんって眼鏡するんですね」
『普段はしてませんけどね。実は今日学校に持って来た筈のコンタクトをケースごと何処かに落としてしまいまして』
「え、探さなくて大丈夫なんですか？」
『この本の続きが気になってたので』
そう言って表紙を見せるその本は先日俺がオススメした本で、読んでくれているんだなぁ、って自然と頬が緩む。
そしてAちゃんは栞を挟むと本を閉じた。
「ひと段落ついたんですか？」
『はい』
「……」
『……なんですか？』
「いえ、Aちゃんって眼鏡かけると印象が変わるんだな〜って。普段より可愛く見えます」
『それって普段は可愛くないってことですか？』
「え」
そういうわけではなかったんだけどな……
Aちゃんのことは出会った時から女の子らしい、とは簡単には言えないけれど小さくて幼気だなとは思ってたけど別に恋愛的に見ていたわけではなくて後輩として可愛いと思っているわけで普段も可愛いけれど眼鏡を掛けたら可愛さが増したというかなんというか……
『挙動不審すぎやしませんか』
「え！？」
『目の泳ぎが半端ないですよ』
「べ、別にやましい事を考えていたわけでは……」
『考えていたんですか？』
「考えてないです！」
ていうか俺図書委員なのに図書室で大声出すとか。後輩に振り回されてばかりの俺って本当先輩らしくないなぁ、と思った時Aちゃんの方を見ると彼女は顔を隠して笑いを堪えていた。
……ずっと思ってたんだ
夏目くんとAちゃんは内面的に凄く似ていると。
「か、からかったんですか！？」
『すみません、だって面白いんですもん』
「……夏目くんとAちゃんって似てますよね」
『そうですか？』
「だって二人して俺をいじるんですもん」
『よく言うじゃないですか。好きな人程いじりたくなる。可愛い後輩からの愛情表現というやつです』
��愛情表現��という言葉に少しドキッとしてしまったが俺は騙されるわけにはいかない。
しかし本気で叱れないあたり、俺は相当後輩に弱いのだ。
……ほんと、最近の若い子って怖い
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月17日 23時
