42.刀物語 其ノ弐 ページ44
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薬研藤四郎
『研究室……？』
立ち入ったことがなかった日の当たらない場所に足を踏み入れると��研究室��という部屋の前に辿り着いた。
「そこは立ち入り禁止だぜ」
『！』
「たーいしょ」
顔を向けると日の当たる場所の方に薬研くんが立っていた。
私は足早に薬研くんの方に歩み寄るとニコッと笑う薬研くん。もともと怪しさ満載だったので入る気はなかったけれど薬研くんの様子だと入らなくて良かったようだ。
「ここは一部の刀剣男士しか出入りしねぇんだ」
『そうなの？』
「薬の製作に政府の役人らに任された研究、中には研究している奴は本気なんだろうが不老不死の薬や記憶を消す薬なんてのも作ってる巫山戯た奴もいるからな。安易に触ったらどうなるかわかんねぇぞ」
『後半から穏やかじゃない！？』
「そーいや俺の薬で新作があるんだが試すか？」
そう言って薬研くんが白衣のポケットから取り出したのは瓶に入ったとてつもなく禍々しい色をした薬なのかわからない液体だったので私は丁重にお断りしました。
にしても元が刀である彼らが研究や薬などを開発したりするということに驚きである。
『薬研くんが作ったの？』
「まだ新作段階だがな」
『へぇ……薬研くんは凄いなぁ』
そう言って私は薬研くんの頭を撫でた。こんなにも小さいのに薬を作れる程の知識を持ってるなんて純粋に凄いと思いながら癖っ毛のないサラサラな髪を撫でていると目を張った薬研くんと目が合う。
『……あ、ごめん！いきなり撫でられてビックリしちゃったっていうか嫌だったよね！？』
「……いや、ただ少し変な感じになっただけだ」
普段大人っぽい薬研くんが少し頬を赤く染める様子に可愛いと思いながらも頭を撫で回したい衝動を必死に抑える。
するとどこからともなく桜の花弁がヒラヒラと舞い落ちる。
『……？』
「前代の主の撫で方は豪快だったが大将のは優しいんだな」
『優しい、ですか？』
「前代の主の手はデカかったが大将は小さい。違うところが沢山あるのに俺達を見る時の顔が同じなんだよな」
『見る時の顔？』
「どんなに巫山戯ていたとしてもアンタらが俺達を見る時の顔は懐かしいくらい優しくて温かいってことだよ」
そう言って今度は薬研くんが私の髪に手を伸ばしてワシャワシャと撫でてくる。
案の定、温度を持たないその手に私の温度が伝わるように頬を擦り寄せたのでした。
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
