12.人間ではない ページ14
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『お婆、ちゃん……？』
「！！」
加州さんが勢いよく祖母の方に振り向く。
しかしいつもと様子が違った。祖母の優しい瞳は赤色に染まっていたのです。
〈Aちゃん、こっチにいらっシャい〉
『お婆ちゃん？なんだか様子が変だよ？』
〈変、じゃナいわヨ……私、は……〉
すると祖母の顔面にヒビが入り祖母の背後から黒い手が何本も伸びてきたのです。その手は私を掴んで持ち上げ凄い力で私を締め付けて宙に浮かせる。
『お婆、ちゃん……っ？やめ、て……』
〈………ケケケ、ケケケケケケケ〉
もうそれは祖母ではありませんでした。
祖母じゃない化物は一層強く締め付ける力を強くし私の体内ではミシミシという音が鳴り止まない。
「A！」
『か、しゅうさ……』
その刹那、私の両腕の骨は大きな音を立てた。
『あああああぁぁぁぁああああっ！！！』
〈ケケケケケケケケケケケ！！！潰れちまえ潰れちまえ潰れちまえ潰れちまえぇぇぇええええ！！〉
痛い。怖い。煩い。
意識がなくなろうとした時、加州さんが祖母から伸びている黒い手を断ち切ると落ちた私を両腕で受け止めた。
「ごめんね……」
『加州さん……』
自然と加州さんに伸びた私の腕が目に入る。
たしかに両腕の骨が折れた筈なのにもう自由に動かせるくらい回復していたのです。
私はもう人間ではないと自覚した自分が怖くて加州さんに泣きつくことしか出来なかった。
〈おのレぇ……刀剣男士がぁぁああ〉
「この子は渡さないよ」
化物はバキバキと眉間に皺を寄せ、黒い手で攻撃を仕掛けるも全て加州さんに斬られてしまう。
「加州の旦那！足止めはもう無理だ！」
「わかった。この子の母親も連れて撤退するよ」
「了解」
薬研くんが軽々と母を担ぐ。
加州さんはすぐに家から出ると扉を閉める。
「あれ、どうしました？」
「撤退するよ」
「え、もうですか！？」
そして加州さんは何故か扉を開けた。
しかしそこに広がる光景は真っ暗な玄関ではなく、昼間も見た本丸の大きな玄関だった。
すると加州さんは私を降ろすと私の二の腕を掴んで言った。
「よく聞いて。アンタのお婆さんは��疫病神��に魅入られた」
『え……』
「もうああなったらお婆さんごと退治するしか方法はないの」
私はもう涙が止まりませんでした。
『どうして……どうしてどうして！どうしてなんですか！？私が人間じゃないから！？私が……！』
私はその場に泣き崩れた。
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
