40.私の近侍 ページ42
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……なんか不吉な事を言われたような気がする
目の前でドロンしたこんのすけくん。どういうメカニズムなのだろうかと思いながらも深く追求するのはやめておこうと思う私は肩の力を抜く。
「おい」
『？』
「なんで俺を近侍にした」
『……だって言われていたじゃないですか』
「……？」
『お爺ちゃんに助けてやってくれって』
「！」
すると目を張る山姥切さん。
「……写しの俺にそんなの務まるわけないだろ」
『務まりますよ。なんせ貴方はお爺ちゃんの刀なんですから』
山姥切さんを不安にさせないように自信たっぷりに言えば不意に立ち上がった山姥切さんは障子を開けて縁側に出る。私はその後を追いかけて彼の隣に立って顔を覗き込む。
遠くを見つめる目をしていた。
「今はあんたの刀だ」
『私の刀ならもっと大丈夫です！』
「不安だ」
『何故ですか！？』
「近侍も知らない審神者は不安だ」
『近侍はたしかに知りませんでしたが珍しい言葉はもう覚えておりますので、ご心配なく』
「珍しい言葉？」
『知ってました？この時代ではトイレを��厠��と言って台所を��厨��と呼ぶんですよ』
刹那、山姥切さんにデコピンされた。
痛みに悶えながら「何故ですか！？」と言えば今度は、こいつ馬鹿なんだな、という目で見られた。
私が何をしたっていうんだ
「それくらい俺だって知ってる。ていうか他の刀剣男士も知ってるくらいの常識だぞ」
『私にとって珍しい言葉でしたので……』
「それを自信たっぷりに言ったあんたは凄いと思ったけどな」
『……でも』
「？」
『私はそれでも山姥切さんがいいです』
私がそう言うと目を伏せる山姥切さん。
「俺は写しだ」
『でも貴方は貴方です』
「あんたを楽しませるような話もろくに出来ない」
『不器用でもいいじゃないですか』
「あんたを困らせることだって多々あるかもしれないし」
『困らせない生き物なんていませんよ』
そしてようやく私を見た山姥切さんに笑って見せれば滲んだ目をした後フードを深く被ってしゃがんでしまう山姥切さん。私も目線を合わせるように膝を抱えてしゃがむ。
『山姥切さん、近侍になってくれますか？』
「……後悔しても知らん」
『後悔はいつかすると思いますが今はそうは思いませんね。だってお爺ちゃんのお墨付きですからね。期待していますよ、山姥切さん』
「……ほんともう、勝手にしてくれ」
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
