20.覚悟 ページ22
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『こ、怖かった……』
「取り敢えずアンタには近づくな、とは言ったけどアンタの首がいつ飛ぶかはアンタの運次第だね」
『そんな殺生な……』
出迎えにこの本丸にいる殆どの刀剣男士から刀を突きつけられるというサプライズと言う名の脅しを受けた私は部屋の前で腰を抜いてしまいました。
運次第？冗談じゃない。ただでさえ巻き込まれ体質で自他共に認める不運の持ち主だというのに。
「大体の審神者はこの時点で帰ってるけど」
『か、帰りませんよ！』
「よかった」
そう言う加州さんはとても嬉しそうだ。取り敢えず加州さんが味方で良かった。それだけが救いだ。
それにしてもどうしたものだろう。審神者として主として受け入れられたのは良いもの、殆どの刀剣が私を敵視している。審神者と刀剣男士が信頼があってこそ本丸は成り立つと言われたけれど初っ端から成り立っていない。
『今はみんなに私を主として認められるのが最優先ですよね』
「まーね。でも結構時間かかっちゃうかも」
『構いません』
「なら最初は味方探しからだね。少数の藤四郎兄弟はアンタに力を貸すと思うよ」
『あの……とても厚かましい事だとは充分承知なのですが春休みの前の日に私に親切に説明してくれた堀川さんや岩融さんや三日月さんなどの方々は』
「アイツらは協力しない。あの時は親切だったかもしれないけど政府から派遣された審神者にいろいろとやられてからアイツらは人間が嫌いになったの」
薬研くんが言っていた。政府から派遣された審神者が好きになれなかったとか。私は彼らの悲しい過去なんて知らない。だからその気持ちをわかってやれないのがただ悲しいし何も出来ない。
記憶を重ねるのは簡単だけど記憶を消すのは簡単ではない。
『……なら、頑張るしかないですね』
「ちょっと落ち込んでるでしょ」
『裏切られた気分にはなりました。けれどくよくよしていても仕方ないと思いますし私は私なりに頑張ろうと思います』
「この数日で強くなったじゃん。前はわあわあ泣いてたのに」
『そりゃ泣きますよ。これからだって泣くと思いますし』
「そーね。アンタ泣き虫だもんね」
『私は泣き虫でもあり弱虫でもあるんです』
「たしかにアンタは泣き虫で弱虫だけど強い方の虫でしょ？俺は力よりも意思が強い方が好き」
……真っ直ぐ言われると照れるなぁ
照れて手持ち無沙汰になった私は頬をかいた。
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
