9.骨喰藤四郎「好き」 ページ10
骨喰.
主は花を育てるのが好きらしい。
元の世界にいた時は眺めるだけが好きだったらしいけど、此方側の世界に来た時、何もない花壇を見て育てたくなったらしい。
時折、他の刀達が水やりをしているところを見かけるけれど、今日は主が水やりをしていた。
骨喰「主」
「あ、骨喰くん。みてみて、ひまわり咲いたよ」
骨喰「…立派だな」
太陽に向かって咲いている花。
主は花が咲けば無邪気に喜ぶ。その様子が愛らしく思える。見ていて飽きないような笑顔を見せる。
骨喰「主は本当に花が好きなんだな」
「うん。好き」
骨喰「何が一番好きなんだ?」
「一番好きとか決められないよ」
骨喰「そういうものなのか?」
「そういうものなの」
主はしゃがんで小さい花を指でつつく。
俺も主と同じようにしゃがんで花より主の横顔を見ていると「視線が痛いよ」と困ったような笑みを浮かべる主。
骨喰「そうか。主は花が好きか」
「え?う、うん」
骨喰「俺も好きか?」
「ん?」
骨喰「花と同じくらい俺のこと好きか?」
「…違うかな」
骨喰「違うのか!?」
「なんか違う」と唸る主。
なんか違うってなんだ。俺は少しショックを受けたんだぞ。
俺は膝を抱えて縮こまっていると「やっぱり違う」ともう一度言う主に嫌悪感さえ抱く。
骨喰「何が違うんだ」
「花の好きは植物としてだもん」
骨喰「それが?」
「私にとっての骨喰くんへの好きは人としてだから違うよ」
骨喰「人として?」
「他の刀達と同じ好きだよ」
骨喰「……」
◇
◇
なんか違う。
◇
骨喰「…なんか違う」
「え」
骨喰「(求めていた好きと違う…)」
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作者名:冬雪 | 作成日時:2018年7月28日 0時