8.今剣「心音」 ページ9
今剣.
今剣「あるじさま、おいかけっこしましょっ」
「いいよ。じゃあ庭に」
今剣「たてもののなかでやりましょう!」
「え」
今剣「あるじさまがおにです」
「え」
僕はそのまま本丸の建物の中を走る。
後ろの方で「今剣くん!?」と主様の戸惑いの声が聞こえるけど気にせず僕は走る。
そんな時、角から鍬を持った岩融出てきた。
今剣「いわとおり、したとおります!」
岩融「あぁ!?」
岩融の足の間を通り、そのまま角を曲がる。
「今剣くんスライディング決めないで!?」
岩融「あ、主ー!野菜収穫しといたぜー」
「ありがとうございますまた後で!」
岩融「なんだ追いかけっこか」
後ろの方で主様がいろんな刀達とぶつかったりしてるのが見なくてもわかってくる。
僕は誰もいなさそうな部屋の襖を開け、何処に隠れようか隠れ場所を探している時だった。
刹那、閉めたはずな襖が勢いよく開く音がした。
「はぁ…はぁ…っ!や、やっと追いついた」
今剣「あるじさま」
「……あ」
今剣「あるじさま!」
何もないところで転びそうになる主様を支えようと前へ出な僕だったけど主様に肩を掴まれ、僕も後ろへと倒されてしまう。
床に押し倒された僕の目には主様しか映らない。
「…やっと捕まえた」
今剣「…」
主様は得意げな笑みを浮かべる。
主様の笑みが、主様の髪の匂いが、僕の思考を停止させる。胸のあたりがドキドキしてる。
「あ!ご、ごめんね!すぐに退けるね!!」
今剣「……」
「……今剣くん?」
僕の前から退く主様。
僕は上半身だけ起こして、今もまだ鳴り続ける心臓を抑えながらキョトンとした顔を浮かべる主様を見たのだ。
◇
◇
この胸の高鳴りは。
◇
今剣「あるじさま…」
「?」
今剣「あなたはまじゅつしかなにかですか?」
「??」
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作者名:冬雪 | 作成日時:2018年7月28日 0時