5.和泉守兼定「距離」 ページ6
兼定.
「兼定さん」
ウチの審神者は礼儀正しい。
しかし短剣の奴らには他人行儀など関係なく接している。年相応の笑顔を見せて、無邪気に短剣の奴らと遊ぶ主の姿は目に入れても痛くない。
縁側を国広と歩いていると、いつもの如く短剣の奴らと無邪気に戯れている主に目が止まる。
兼定「なあ、国広」
堀川「なに？兼さん」
兼定「あいつってなんで俺らには他人行儀なんだろうな」
堀川「え？僕は他人行儀されたことないよ？」
兼定「…」
堀川「痛いよ兼さん」
何故か苛立ちが込み上げ、国広の頬をつまむ。
少し考えてみれば主は自分と歳が近そうな奴や歳下に見える奴らには他人行儀を使わない。
しかし主よ。俺らはお前より遥かに歳が離れているんだ。今更他人行儀なんていらないだろ。
堀川「兼さん、主さんは礼儀正しいから仕方ないと思うよ？」
兼定「でもなんかむず痒いじゃねーか」
堀川「あれでしょ？兼さんは主さんとの距離が遠く感じてムズムズして落ち着かないんでしょ？」
兼定「…」
堀川「あ。主さんがこっち来るよ」
気づけば主が此方に歩み寄って来た。
「どうかなさいましたか？」とまた敬語を使う主に「なんでもないですよ」と和やかに対応する国広。
堀川「前々から思ってたけど、なんで主さんは敬語を使う刀剣男子と敬語を使わない刀剣男子を分けてるんですか？」
「それは敬語を使う刀剣男子は大人の男性に見えるからだよ。兼定さんや宗近さんって大人っぽいし」
堀川「なるほどー」
「だってよ兼さん」と笑いかける国広。
そうか。主は俺のこと「大人の男性」と見ているのかと気付くとなぜか嬉しくなって、胸の辺りがムズムズする。
なんだか、いい気分だ。
◇
◇
他人行儀=大人として見られてる。
◇
堀川「兼さん顔赤いよ？」
兼定「るっせ！！」
「？」
.
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作者名：冬雪
| 作成日時：2018年7月28日 0時
