3.薬研藤四郎「心配」 ページ4
薬研.
薬研「主。なんだこの傷は」
「………え、えへ」
薬研「えへ。じゃない！」
「ご、ごめんなさい！」
俺の部屋にやって来た主は足に擦り傷多数、腕に切り傷、さらにオプションとして何故か髪に葉を沢山つけてやって来た。
本丸から出ていないのにこの有様は酷い。
薬研「一体どうやったらこんな傷を作ってくるんだ主」
「短剣達と木登りとか鬼ごっことかしてたらいつの間にか…」
薬研「元気なのはいいが気をつけてくれよ」
「…うん」
本丸は男しかいないから、という理由かもしれないけど、主みたいに天真爛漫な女人は初めてだ。
仮にも、女の子。
主の腕に包帯を巻きつけている時も、細すぎる腕を見る度に簡単に折れてしまいそうで恐れ入ってしまうのだ。
薬研「あまり無茶すんなよ」
「うん」
薬研「お前さんが死んだら俺達も消えるんだ」
「…うん」
だからあまり無茶しないように。あまり危険な目には合わせないように命を懸けて護りたいのに。
人間はすぐに死ぬ。
簡単な病気だって。簡単な傷だって。打ち所が悪ければ意図も簡単に死んでしまう。
薬研「消えるのは嫌だ。だけど俺はお前さんが死んだら嫌だ」
「…軽傷じゃ死なないよ」
薬研「死んだら何もかもが消える。知ってるか？人の死には二回あって一度目は寿命や病気で死ぬことで二度目は人々の記憶から抹消することだ」
「そうなの？」
薬研「二回も死ぬのが嫌ならあまり無茶すんなよ。これじゃあ俺の心臓いくつあっても足りねーよ」
「…うん。わかった」
「ごめんね」と困ったように笑う主の顔は俺の心臓を疼かせた。
◇
◇
儚い存在だから
◇
「でも短剣達と沢山遊んでいたら筋力もついてね、この前小夜くんや蛍丸くんを持てたんだよ」
薬研「(主、肉体改造計画…)」
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作者名：冬雪
| 作成日時：2018年7月28日 0時
