21.「肝試」 ページ22
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今剣「あるじさま、はやくすすみましょっ」
「なんでそんな楽しそうなの今剣くん…」
信濃「大将!ぜってー俺の手を離すなよ!?」
「なんでそんな必死なの信濃くん…」
薬研「大将、怖いなら俺の手も繋ぐか?」
「なんでそんな余裕なの薬研くん…」
森の中をぐるっと一周回って戻ってくるだけという簡単なルールのもと始まった肝試し。
私と鯰尾くんと骨喰くんが隊長となり、それぞれの隊長に短剣の子達が付いて順番に森の中に入る。
そして「主は俺が守る!」と顔面蒼白の信濃くんと「あるじさまといきたいです!」と明るい今剣くんと「大将行こうぜ」と男前の薬研くんに手を引かれて私達が最初に森の中へと入ってしまったのだ。
「青江さんも居てくれたら心強かったんだけどね」
信濃「俺達じゃ頼りねーってことか!?」
「ち、違うよ!青江さんが居れば、なんか…お化けも手懐けそうだなと思って…」
信濃「…確かに」
薬研「てか、にっかり青江は怖い話を話終えた後、一瞬で姿をくらましたけどな」
「ある意味ホラーだったよね…」
なんか意味ありげに笑いながら一瞬で姿を消した青江さんに対して短剣の子達が絶叫したのは言うまでもない。
ザザザザ…
「うわぁぁああ!!」
信濃「うわっ!?大将いきなり声上げんな!!」
薬研「うるさい」
信濃「ひっ」
今剣「どうしましたー?」
信濃「な、なんか足に…!」
信濃くんの足元を見ると、信濃くんを掴む青白い手と草陰から覗くぎょろりとした目。
信濃くんは言葉にならない悲鳴を上げて立ったまま気を失ってしまった。
「し、信濃くん!?」
薬研「…気ぃ失わせてどうする…兄貴」
一期「あれ?バレてた?」
「一期さんだったんですか」
薬研くんに呼ばれて、ニコニコしながら草陰から出て来た一期さんに呆気をとられる。
薬研「兄貴、信濃気ぃ失ってるから頼む。俺たちは続ける」
「え」
一期「わかった。主、どうか弟達をよろしくお願いします」
「え」
今剣「さ、あるじさま、いきましょう!」
「えぇ…」
◇
◇
続行。
◇
「怖くない怖くない怖くない…」
今剣「ふるえてますね、あるじさま!」
薬研「さて、お次は誰がくるのやら…」
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作者名:冬雪 | 作成日時:2018年7月28日 0時