ONE Hero's【一撃男】短編

サイタマ/※特殊設定 ページ14

オチなし救いなしの若干病んでるお話。
夢主は人間と吸血鬼のハーフという設定になっています








「ねえ、サイタマ」


そう言って後ろから抱きつかれ首筋を舐められる


「なんだよ」


俺は読んでいた漫画を置きAの相手をしてやることにした


「言わなくても分かってるでしょ、意地悪しないで」


「お前大丈夫なの？吸血する期間短くなってきてる気がするんだけど」


「私も分かんない」


前は二週間に一度くらいのペースだったが
この頃は三日に一回はこいつに血を求められる

どう考えても異常だ
　


しかし人間ではない彼女のこの症状を診てもらえる病院などあるはずもなく

A自身もかなり気に病んでいるみたいで


「最近、本当に吸血鬼になっちゃうんじゃないかって。自分でも凄く恐いの」


俺は「守ってやるから安心しろ」と言って励ますことくらいしか出来ないのが心苦しい



初めて彼女に会った時もそうだった、
人間と吸血鬼のハーフだと言われて俺に血を求めてきた時

怪人に襲われてほぼ溺死状態だったはずが
俺の血を飲んでものの数秒で傷ひとつ無い体に戻ったのは驚いた


それからは俺の血に依存するようになり一緒にいる時間が増え、今では恋人同士で同居している

　

前にAに言われたこと


もし私が吸血鬼になっちゃって人を襲うようになった時は、サイタマが私を―――

そんなこと頷ける訳がない
お前は吸血鬼になんかならない、心優しいやつなんだから大丈夫だって言ってやったら



「サイタマ大好き。ずっと一緒に居て」


なんてプロポーズみたいな台詞を言われた
本当は男の俺が言わなきゃいけないのにな





「サイタマいい匂い」


「さっき風呂入ったからだろ」
　

「違う。血の匂い」


「....そうか」




俺も恐いよ、もしお前が吸血鬼になったら
お前がお前じゃなくなったら


いくら最強だと言っても大切な人を守れないなら
こんな強さなんて皆無に等しい



今はただ願うことしか出来ない
この幸せな時間がいつまでも続きますようにと

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