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そんな梅野の様子に、Aはむしろ微笑ましくなった。幼い頃から梅野は兄にからかわれていたことが安易に想像できたからだ。
梅野は、緊張した声色で訊いてきた。
｢Aは、何て答えた？」
｢うん？」
梅野が顔を上げ、Aを見つめた。
｢…僕の、どこが好き？」
｢全部」
｢…え？」
｢俺はそう言ったよ、お兄さんに」
梅野は顔を真っ赤にして固まった。
そんな梅野がいとおしくなって、Aは思わず彼の肩を抱き寄せた。
Aは梅野に顔を近づけた。そのまま自分の唇をそっと梅野の唇に重ね、目を閉じた。
梅野は一瞬ぴくりと身体を強ばらせたが、抵抗しなかった。
(ああ、なんだ)
Aはやわらかな心地好い感触を唇に感じながら、考えていた。
キスをする時はもっと緊張すると思っていたが、意外とそんなことは無かった。
(怖がらず、『好き』という気持ちを素直に表せばいいだけだ。無理せず思いのまま、自然に振る舞えばいいだけだ)
しばらくしてから、Aは梅野から顔を離した。
梅野は、とろんとした顔でAを見つめていた。
｢ごめん、いきなり」
Aは一応謝ったが、梅野が嫌がっていないのは明白だった。
｢ううん…」
梅野ははにかむように一度顔を伏せたが、再び顔を上げた。
｢A…もういっかい」
二人はベッドの真ん中に移動して座った。それからもう一度キスをした。
＃
Aは自室で一人、絵を描いていた。
窓の外の風景を、鉛筆でスケッチブックに描き写していく。
(瑞季さんに見せられるような風景画を描いておこう)
今度遊びに行った時は、Aは瑞季に絵を見せようと思っていた。そして彼の絵を見せてもらおうとも思っていた。
｢よし、完成」
中々の出来だった。これなら人に見せられるというレベルに仕上がった。
満足しながらスケッチブックを棚にしまった。
｢あ」
そういえば、と思い出した。宿題をやり忘れていた。
(さっさとやっておこう)
教科書とルーズリーフを鞄から引っ張り出し、問題に取りかかった。
しかしAの学力では何ということはない、数学の問題を解くことなど簡単で、ただの作業だった。
最近では英語もめきめき学力が伸びてきて、A自身も驚いていた。洋画を吹き替えなしの字幕で観ているのが効いてるんだろうか、などと考える。
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天泣tenkyu(プロフ) - 読みやすい わかりやすい 面白い 、の三拍子ですね！笑めちゃくちゃ読むの楽しくて一気に全部読んでしまいましたぁ…… (2018年10月11日 20時) (
レス) id: daeb79a243 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(金欠）(プロフ) - 面白かったです。お疲れさまでした！ (2018年2月26日 5時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 面白いのに、勿体無いと思います。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 読みづらい。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - めっっっちゃおもろいです!!二人が再会できて良かったです!!更新頑張ってください!!q(^-^q) (2017年12月27日 17時) (携帯から) (レス) id: 76f089da6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぺこ | 作成日時：2017年10月30日 0時
