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｢…そんな可愛い弟をパシるんですね」
｢いやだなあ、愛ゆえさ」
などと話しているうち、梅野が帰ってきた。
Aは、その帰宅の早さに驚いた。
｢ずいぶん早いな」
軽く息の上がった梅野は、三時の方向を指で指し示した。
｢スーパーがすぐ向かいにあるから」
｢そうなんだ」
瑞季は、梅野からトマトの入った袋を受け取って笑った。
｢ありがとう」
梅野は、兄の常識のなさに眉を寄せながら返事をした。
｢どういたしまして。…僕が帰ってきたから、もうAに手伝わせる必要はないよね」
｢ああ、うん。Aくん、ありがとう。…ゴメンね」
｢いえ、そんな」
Aはキュウリを切ること位しかしていないので、謝られると逆に申し訳なくなった。
しかし梅野は瑞季におおいに不満があるらしい。梅野の帰りが早かったのは、客であるAにあまり長く手伝わせたくなかったからかもしれない。
Aは自分がしていたエプロンを外し、梅野につけてやった。それを瑞季に｢新婚さんだ」とからかわれ、梅野はよけい不機嫌になった。Aは、いったいどっちがお嫁さんになるのだろうと苦笑した。
完成した夕食は、素晴らしいものだった。
焼きたてあつあつのラザニアは、焦げたチーズの香ばしい香りが食欲をそそる。付け合わせにはバゲットとコンソメスープまであった。
トマトとキュウリ、それにアボガドのサラダは、赤と緑の対比が鮮やかで心踊らせる。野菜がみずみずしく光沢を放ち、とても美味しそうだ。
この夕食の出来は、瑞季の手腕によるものが大きい。梅野いわく、｢兄さんは料理の腕で何人もの女の子をオトしてきた」らしい。普通そこは男女が逆ではないかとAは思う。
三人で囲んだ食卓は、とても楽しいものであった。他愛ない話をしてたくさん笑い合って、たくさん食べた。不機嫌だった梅野も、徐々に笑顔になっていった。
夕食の後、Aは風呂を借りた。一番風呂までいただいてしまった。
風呂場までエスニックな小物で溢れていたので、Aはその徹底ぶりにこっそり感心した。
風呂から上がったAは、梅野の部屋で彼を待っていた。
自分の持ってきたスケッチブックを眺めて暇を潰していると、ガチャ、とドアが開き部屋の主が帰ってきた。
｢…おまたせ」
梅野はゆるめの黒いスウェットを着ていた。湯上がりなので、頬も殊更に赤い。普段着とは違う無防備さに、Aはどきりとした。
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天泣tenkyu(プロフ) - 読みやすい わかりやすい 面白い 、の三拍子ですね！笑めちゃくちゃ読むの楽しくて一気に全部読んでしまいましたぁ…… (2018年10月11日 20時) (
レス) id: daeb79a243 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(金欠）(プロフ) - 面白かったです。お疲れさまでした！ (2018年2月26日 5時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 面白いのに、勿体無いと思います。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 読みづらい。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - めっっっちゃおもろいです!!二人が再会できて良かったです!!更新頑張ってください!!q(^-^q) (2017年12月27日 17時) (携帯から) (レス) id: 76f089da6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぺこ | 作成日時：2017年10月30日 0時
