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｢なんていうか、その…」
言い淀んでいると、瑞季がAの頤にそっと指をかけた。
｢じゃあさ、僕でもいいんじゃない？」
｢は？」
瑞季の手がAの腰にまわされた。
整ったつくりの顔が近づいてきて、美しく笑ってみせる。
｢僕、Aくんのこと、けっこういいなって思ってて」
切れ長な目が細められ、甘ったるい視線がAをとらえる。
｢嘘言わないでください」
弟より赤めでやや薄く、それでいてたっぷりと色気を持っている口唇が、Aを誘うように言葉を紡ぐ。
｢いきなり過ぎて信じてもらえないだろうけど。Aくんのこと、良い子だなって思ってるのは本当だよ」
｢そうですか」
｢かわいいなって思う。弟みたいにも、一人の男の子としても」
｢かわいいってのは、全く嬉しくないです」
悪意なんてまるでないというように、瑞季は首を傾げた。
｢あれ、そう？ねえ僕、けっこう弟に似てるだろう。君だって初めは間違えたよね」
｢はい。でも、貴方じゃ駄目です」
｢どうして？」
瑞季の指がそっとAの腰を撫でようとする。Aはさりげなくその手を払った。
｢梅野が好きだからです。貴方は、ただ顔が似ているだけで」
｢何が違うの？」
(ああ)
瑞季と言い合っているうちに気がついた。
(解った)
梅野の顔が好きだ。普段ぼんやりとした梅野が、不意に色香を覗かせる瞬間が一番好きだ。
だがそれとは別に、何より、梅野はずっと一緒にいたいと思える人間だった。初めは外見に惹かれただけだったが、彼と過ごすうち、とても安らいでいる自分に気がついた。この安らぎは、瑞季には無いものだ。
｢…恥ずかしいので、あんまり言いませんけど。あいつとなら、ずっと一緒にいられる。ずっと一緒にいたいって思うんです。一緒にいてすごく居心地がいいっていうか」
｢へえ」
｢俺がこんなに気兼ねなく傍にいられると思う人は、他にいません」
瑞季はしばらく考えるそぶりを見せた。
しかし、最後にはにっこり笑ってAからひょいと手を離した。
｢うーん。まあ合格でいいかな」
｢はい？」
瑞季はAに向かってパチッとウインクを決めて、ぐっと親指を立てた。
｢ごっめんね。ちょっとからかってみただけ」
｢…やっぱり」
｢あれ、気がついてた？」
｢人が悪いですね、やっぱり」
｢だって、可愛い弟を、半端なヤツにあげたくないしさ」
｢言いますね」
｢うん。これでも、言いたいことは全部言う人間だよ」
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天泣tenkyu(プロフ) - 読みやすい わかりやすい 面白い 、の三拍子ですね！笑めちゃくちゃ読むの楽しくて一気に全部読んでしまいましたぁ…… (2018年10月11日 20時) (
レス) id: daeb79a243 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(金欠）(プロフ) - 面白かったです。お疲れさまでした！ (2018年2月26日 5時) (レス) id: f13eb61b67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 面白いのに、勿体無いと思います。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 読みづらい。 (2018年1月21日 11時) (レス) id: 581099bb6b (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - めっっっちゃおもろいです!!二人が再会できて良かったです!!更新頑張ってください!!q(^-^q) (2017年12月27日 17時) (携帯から) (レス) id: 76f089da6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぺこ | 作成日時：2017年10月30日 0時
