One Last Time Ⅲ【 sh × yj 】 (ページ32)

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・（S）ページ32

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気を抜いたらいつどこで誰に会うか分かんないからサングラスは必須。少しの時間はAを隣に乗せたいから助手席を案内した。

「いいの？」
『いいよ』

いちいち許可が必要なんて、ほんと申し訳ないけど俺のことを受け止めてくれてる証拠だよね、いつもありがとな。

辺りもいい感じに暗くなってきて、Aの手を握った。冷静にカッコつけたけど内心バックバク。こんなんでいいの？キュンとしたりすんの？俺の方がキュンキュンしちゃってんだけど、大丈夫？横を一瞬見たら顔と耳も赤くなってたから照れてるんだなって確信した。だから俺もすぐ前を向いて、平然を装った。カップルらしいこと全然出来てなかったからこういうところで、ね。

柚莉ちゃんから送られてきた写真を見て、「わ！ずるい！」って言い出したA。ジンの運転姿だった。そういえば俺の写真とか一切撮ってないし、2人のツーショットも1枚もないよな。付き合ってないときから一度もない。

一気に距離を縮め出したジンたちに対抗するように俺らも写真を撮る。サングラスありとなしバージョン。ツーショットもね。

ふはっ、やば、なにこれ、カップルじゃん。

「幸せだな〜」
『……ほんと？』

ちょうど信号が赤になり、ブレーキを踏む。その間にAを見つめると、キョトンとした顔でこちらを見た。俺も今同じこと思ったんだ。

『こうしてまた会えるなんて思わなかった
「……うん」
『好きになってくれてありがとな』
「私こそ」

俺のことを知らない人が俺に興味を持ってくれて好きになってくれて、付き合うことになるなんて、有り得ない話だと思ってた。

こんな恋愛でごめんって何度も思った。
だけど文句も言わず " 幸せだ " って言ってくれんだよ。

改めて思う。君と出逢えたことは奇跡なんだと。

2人が出逢ったあの場所まで、あと少し。

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